2020 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御破綻によるトリプルネガティブ乳癌発症メカニズムの解明と新規治療標的の探索
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18K08596
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笹井 香織 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50722162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624) [Withdrawn]
片山 博志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90713975) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オーロラA / NF-Y / タンパク質修飾 / エピジェネティック制御 / 遺伝子発現制御 / トリプルネガティブ乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では予後が極めて不良なトリプルネガティブ乳癌(TNBC)におけるがん遺伝子オーロラAの機能解析を行い、新たな治療標的を同定することを目的とした。 本研究実施により核内に局在するオーロラAの転写因子Xとヒストンアセチル化酵素Yと相互作用が、ヒストンH2Bのユビキチン化に影響を与え、その結果、細胞分裂期関連遺伝子の転写亢進により細胞増殖を促進することを見出した。 オーロラAは転写因子Xをリン酸化し、このリン酸化は転写因子Xのサブユニット間の相互作用を促進することで標的遺伝子のプロモーターに存在する結合エレメントへの結合を高め、標的遺伝子群の発現を高め、細胞増殖を促進した。ヒストンアセチル化酵素YはオーロラAをアセチル化することで核内オーロラAのタンパク質安定化を促進するとともにオーロラAによってリン酸化された転写因子XとヒストンH2Bのユビキチン化を促進することが分かった。ユビキチン化された転写因子XとヒストンH2Bが転写を促進することは既に報告されていたが、我々の得た成果「オーロラA-転写因子X-ヒストンアセチル化酵素Yの複合体内の複雑な相互修飾」がその基盤となるメカニズムであることが初めて示された。 今回、新たにオーロラAと結合することを見出したヒストンアセチル化酵素Yは治療標的としてその分子標的薬が非臨床レベルではあるが研究されている。よって、我々はオーロラAとヒストンアセチル化酵素Yに対する分子標的薬のコンビネーションの効果をトリプルネガティブ乳癌に対し先駆けて研究する機会を得た点で非常に大きな成果を得ることが出来た。
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Remarks |
本研究は米国テキサス大学MD Anderson Cancer CenterのSubrata Sen教授、Hiroshi Katayama准教授ならびにインド国Jawaharlal Nehru Centre for Advanced Scientific ResearchのTapas Kundu教授と共同研究を実施しており、助成期間終了後も成果発表まで引続き研究が継続される予定である。
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Research Products
(2 results)