2018 Fiscal Year Research-status Report
メタボローム解析を用いた乳癌化学療法の効果予測法の確立
Project/Area Number |
18K08602
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
神野 浩光 帝京大学, 医学部, 教授 (20216261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂村 眞琴 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (10201584)
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳癌 / 血液 / 診断 / メタボローム / マルチオミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
当院を受診した乳癌患者90例の唾液を採取し、CE-TOFMS(キャピラリー電気泳動・飛行時間型質量分析装)を用いて50-1,000m/zのイオン性代謝物の網羅的な測定を行った。540物質の標準同定と定量を行った。対照として20名の健常女性から得られた唾液を用いた。統計解析にはnonparametric Mann-Whitney U test 及び receiver operating characteristics(ROC)を用いた。 浸潤性乳管癌70例、浸潤性小葉癌2例、非浸潤癌14例を含む乳癌症例の年齢中央値は61歳(range:26-81歳)、平均腫瘍径は2.3cm、臨床的リンパ節転移陰性症例が71例であった。ホルモン陽性症例を77例、HER2陽性症例を19例に認めた。平均のKi-67価は20.4%であった。術前化学療法後の症例を21例に認めた。Mann-Whitney testにて乳癌患者と健常者の間に有意差を認めた代謝物は61物質であったが、fales discovery rateにて補正後は50物質となった。乳癌患者における濃度が健常者の3倍以上の物質は34物質、10倍以上の物質は4物質(spermine、3-methylhistidine、piperdine、trimethylamine n-oxide)であった。これら4物質の濃度は術前化学療法施行後では低下する傾向がみられた。4物質におけるROC-(受動者動作特性)曲線下の面積は0.850、0.819、0.809、0.765と高値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタボローム解析のために多変量解析モデルを構築した。p値は0.05に設定し、モデルの一般化能力の検討のためにk-分割交差検証を行った。つまり、データをtraining setとvalidation setにk-1:1に分割し、training setでモデルを構築し、validation setで検証した。本プロセスをk回繰り返し、validation setにて一般化能力を検証した。k値として2, 5及び10を用いた。 さらに、従来のif-then decision treeによる機械学習を改良したalternative decision tree (ADTree)モデルを解析に使用した。まず、データのバイアス除去のためにbias-controlled resamplingを行った。つまり、個々のデータをredundant selectionでランダムに選択した。そのバイアスを除去したデータを用いてensemble ADTreeモデルを作成した。ensembleの方法としてはbagging法を選択した。Decision treeにおけるnodeの数(boosting number)とtreeの数(bagging number)は2-fold交差検証で決定した。最後に、作成したモデルを用いて元データからの予想を行った。一般化能力の検証にはbootstrap様解析を用いた。つまり、個々のデータからredundant selectionでランダムに選択することにより、モデルの作製と検証を行った。本プロセスは200回繰り返し行った。
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Strategy for Future Research Activity |
開発されたADTreeモデルを用いて、メタボローム解析にて化学療法の効果予測が可能か否か検証する。現在、化学療法を施行予定の乳癌患者からサンプルを蓄積中であり、現在までのサンプル数は約20となっている。化学療法の終了には約4-6か月を要し、最終的にはその後の手術標本の病理解析結果との関係を検討する。
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Causes of Carryover |
(理由) 謝金、消耗品等の物品購入がなかったため (使用計画) 学会発表の旅費精算、消耗品の購入、謝金、学会年会費、学会参加費の支払い予定
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