2019 Fiscal Year Research-status Report
PARP阻害剤感受性を亢進するmicroRNAを用いたTNBC治療法の開発
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18K08605
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
奥井 理予 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 講師 (20327654)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PARP阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRCA1/2は、二本鎖DNAの修復に重要な役割を果たす遺伝子である。BRCA1/2遺伝子に変異を有する患者は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)や遺伝性乳癌卵巣癌(HBOC)を発症するが、明らかなターゲットが存在しないため、治療が難しい。ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の阻害剤であるolaparibは、従来の抗がん剤に比べて副作用が少なく、TNBCやHBOCに有効であることが報告され、臨床試験による評価が期待されている。しかし、olaparibを用いた併用療法については様々な組合せが考えられ、未だ確立されていない。 Brca1遺伝子とBrca2遺伝子のノックアウト(KO)マウスは、いずれも胎生致死で解析が難しい。そこで、申請者らの研究グループは、Brca2遺伝子の発現を脳特異的に抑制したコンディショナルKO (cKO) マウスを作製し、これらのマウスが高頻度に髄芽腫を発症することを報告した。また、Brca2 cKOマウスの髄芽腫から独自に細胞株を樹立後、TaqMan MicroRNA Arrayによる発現解析を行った結果、olaparib感受性を亢進するmicroRNAとして、miR-X、miR-Y、miR-Zを同定した。 本研究課題の目的は、TNBCやHBOCに対して有効なolaparib併用療法とそのメカニズムを明らかにすることである。令和元年度は、ヒトTNBC細胞株(MDA-MB-453、MDA-MB-231)にolaparibと各種抗癌剤を併用し、ウェスタンブロット法による解析を行った。その結果、olaparibとブロモドメイン阻害剤の併用によりアポトーシスを検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、ヒトTNBC細胞に有効なolaparib併用療法の検討を行った。ヒトTNBC細胞株に各種抗癌剤とolaparibを同時に加え、48時間後に細胞を回収し、アポトーシスを調べた。これまでに25種類の抗癌剤を用いて調べた結果、olaparibとブロモドメイン阻害剤の併用により、アポトーシスを検出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、olaparib感受性を亢進するターゲットタンパク質を同定するため、以下の実験を行う予定である。 1)miRNA標的予測サイトTargetScan(http://www.targetscan.org)や、すでに報告されている論文を調べ、miR-X、miR-Y、miR-Zのターゲットを検索する。 2)ヒトTNBC細胞株にmiR-X、miR-Y、miR-Zを過剰発現させた後、上記1)で検索したターゲットタンパク質の発現量が減少しているかどうか、ウェスタンブロット法により確認する。 3)上記2)で同定したターゲットタンパク質をsiRNAにより発現抑制し、olaparibに対して高感受性を示すかどうか確認する。 4)上記2)、3)の実験で同定したターゲットタンパク質について、阻害剤の有無を調べ、阻害剤が使用できる場合は、単独またはolaparibを併用し、ヒトTNBC細胞株に対する感受性を検討する。
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