2020 Fiscal Year Research-status Report
Combination therapy with inhibition of exosome production and anti-vasculogenesis for suppression of mammary cancer metastasis
Project/Area Number |
18K08606
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
柴田 雅朗 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10319543)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 裕子 大阪医科大学, その他部局等, 功労教授 (40148432)
谷口 高平 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70779686)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | nSM2 / siRNA / miRNA / 乳癌 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度まで、構築したpAAV-U6-ZsGreen1 Vectorを用いたnSM2-siRNA発現ベクターが上手く働かず、2020年はベクターをpBsi-mU6に変更し、再構築を行った。その結果、乳癌細胞株において、nSM2発現の有意な抑制効果が発揮されたが、細胞のエクソソーム分泌量は約40%の低下をみるのみであった。 nSM2阻害剤GW4869の投与実験では、BJMC3879Luc2移植乳癌に対して、週2回の割合で計4回、2.5mg/kgを腫瘍内に直接、注射し、屠殺剖検した。なお、対照群には生理食塩水のみを同様に投与した。その結果、経時的な腫瘍体積で対照群との間に差異を認めず、リンパ節の転移個数においても差が示されなかった。 miRNAとの複合投与による転移抑制の増強を計画していたことより、miR-Xをその候補とした。このmiR-XはMAPK/ERK経路およびPI3K/Akt経路を抑制することから、抗脈管新生作用を有すると考えられ、腫瘍内投与による予備実験を行った。その結果、腫瘍径では、1000 nM群において、遺伝子導入の7日後に有意な抑制が示された。引き続き、1000 nM群で本実験を行った結果、有意な転移抑制は観察されなかった。 いずれの実験でも良好な結果が得られず、現在はnSM2-siRNA発現ベクターを安定的に組み込んだBJMC3879Luc2乳癌細胞株を作製しており、これを移植することによりnSM2低下により乳癌転移がどう変化するかを解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
nSM2-siRNA発現ベクターの構築が上手くゆかず、ベクターを変え再構築した。その結果、nSM2 mRNAでは有意な低下を見たが、エクソソーム分泌量をELISAで解析すると約40%程度の抑制をみるにとどまり、これでは転移抑制に至るには不十分と考え、nSM2阻害剤であるGW4869の投与実験を行った。 nSM2阻害剤のGW4869を2.5mg/kg の容量で腫瘍内に直接、投与した結果、腫瘍増殖にも転移に対しても抑制が示されなかった。 nSM2を抑制するとともにmiRNAを複合投与することで、転移抑制の増幅効果を期待し、miR-Xの1週間の予備実験を行った。腫瘍内に直接、Lipofectamineと共に注射した結果、有意な腫瘍体積の抑制とPCNAを指標とした細胞増殖の抑制が観察された。そこで、投与期間6週間の実験を行った結果、5週まで有意な腫瘍増殖の抑制を見たものの、6週では有意差はなくなった。リンパ節転移では群間に差異は観察されなかった。 いずれの実験でも良好な結果が得られず、現在、nSM2-siRNA発現ベクターを転移性の乳癌細胞に組み込み、安定的にnSM2を抑制する細胞株を作製している。この乳癌細胞株を移植し、恒常的なnSM2低下が転移抑制に効果があるかどうかを解析する。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、nSM2-siRNA発現ベクターを転移性の乳癌細胞に組み込み、安定的にnSM2を抑制する細胞株を作製している。この細胞株におけるnSM2の抑制をReal time RT-PCR解析で確認の上、この乳癌細胞株を移植し(対照群にはnSM2-siRNAを導入していない細胞)、移植後2週より、腫瘍径を6週間計測する。また、移植後8週の時点で生体発光イメージングを行い、腫瘍の拡がりを観察する。その後、屠殺剖検し、移植腫瘍、腋窩リンパ節や鼡径リンパ節のほか、全身諸臓器を摘出し、ホルマリン固定する。病理組織標本の作製を行い、転移抑制の有無を解析する。さらに、nSM2免疫組織染色とFFPEからのReal time RT-PCR解析でnSM2の抑制を再度、確認する。腫瘍径や転移抑制が観察された場合は、さらに腫瘍細胞での細胞増殖率、血管新生、リンパ管新生、アポトーシスについて解析し、nSM2抑制がもたらす効果を検討する。
|
Causes of Carryover |
実験が上手く行かなかったために、最終年度内に間に合わず、期間延長をした。遺伝子導入した癌細胞を作製しており、移植実験するための動物費用に充てる。
|