2018 Fiscal Year Research-status Report
内因性抗菌タンパクの潰瘍性大腸炎・回腸嚢炎への病態関与およびバイオマーカーの検討
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18K08611
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 和宏 東北大学, 大学病院, 助教 (30569588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 回腸嚢炎 / 抗菌タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で予定している内容については、当院での倫理審査委員会に研究計画書を提出して承認を得た。まず健常人3例の糞便をサンプルとして、Western blotおよびRT-PCR法にてRELM betaを含む抗菌タンパクを半定量できるか検討を行なった。その結果、半定量は可能であり、Western blotおよびRT-PCR法にて、ヒト便中における、RELM bataをはじめとする抗菌タンパクを半定量するシステムを構築した。次に、潰瘍性大腸炎または家族性大腸腺腫症の大腸全摘・回腸肛門吻合術後で術後数年経過した症例(術後に回腸嚢炎を発症した症例3例、発症しなかった症例3例)を対象として、便および血液のサンプル採取、回腸嚢内視鏡検査、回腸嚢生検検体の採取を行なった。生検する際の内視鏡所見から、内視鏡的重症度(Ulcerative Colitis Endoscopic Index of Severity ; UCEIS)を判定した。血液検査所見などから臨床学的重症度(厚生労働省診断基準)を判定した。また、得られたサンプルをもとに、便のWestern blotや生検検体のRT-PCRにて、RELM betaをはじめとする抗菌タンパクの半定量を行った。回腸嚢炎を発症した症例と発症していない症例で上記で得られたデータを比較することで、RELM-βを中心とした抗菌タンパクの発現に差異があるのかについて検討を行なった。以上により、潰瘍性大腸炎および家族性大腸腺腫症の術後症例における横断的な抗菌タンパクの発現について検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術予定の潰瘍性大腸炎・家族性大腸腺腫症の症例数が若干少ないものの、予備実験で便中のRELM betaを半定量する方法の確立などを終え、基本的な準備は整っており、概ね計画書通りに順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
今までは、すでに手術を終えて長期経過した症例を対象に一つのタイムポイントでサンプルを採取し横断的な検討を行なってきたが、今後はストーマ閉鎖手術予定の症例を中心に、前向きに経時的に複数のタイムポイントでサンプルを採取し、縦断的に検討していく予定である。具体的には、手術群(潰瘍性大腸炎 15例、家族性大腸腺腫症 5例)の便と血液、生検検体を、回腸人工肛門閉鎖直前、術後1か月、3か月後、6か月後、9か月後、12か月後、18か月後、24か月後と計8点でサンプルを集める。生検する際の内視鏡所見から、内視鏡的重症度(UCEIS)を判定する。なお、血液検査所見などから臨床学的重症度(厚生労働省診断基準)を判定する。手術群における、潰瘍性大腸炎症例と家族性大腸腺腫症症例の間で、RELM-βを中心とした抗菌タンパクの発現に差異があるのか、便のWestern blotや生検検体のRT-PCRを行う。また、手術群で回腸嚢炎を発症した患者と発症していない患者も同様に比較する。さらに、手術群における抗菌タンパクの経時的な変化について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、手術症例が予定数よりも少なかったこともあり、サンプル検体数が少なく、実験に用いる試薬の量が少なかったことにより、実支出額が予想よりも少なくなった。次年度では手術症例数が増えることが予想されるため、次年度に使用する予定とした。
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