2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫トレランスを回避する複合的がん免疫細胞治療法の開発
Project/Area Number |
18K08615
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
目片 英治 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80314152)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 聡 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90239525)
三宅 亨 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70581924)
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | がん免疫細胞治療 / CTL / T細胞補助刺激 / 免疫チェックポイント阻害薬 / エフェクター機能増強 / LAP陽性細胞吸着カラム |
Outline of Annual Research Achievements |
癌免疫治療の成功の鍵を握る免疫トレランスの打破には、制御性T細胞などの免疫抑制性細胞機能の抑制と、トレランスに打ち勝つ能力を有した強力な腫瘍特異的細胞傷害性T細胞(CTL)の樹立の両者が必要である。抗OX40抗体のもつCTL機能増強作用と制御性T細胞の機能抑制作用、mB7-DC-FcのもつCTL機能増強作用、LAP吸着カラムによるTGF-β産生免疫抑制性細胞の除去作用、さらには、免疫チェックポイント阻害によるCTLの活性化維持作用を利用し、細胞免疫治療で移入する癌抗原特異的CTLが、担癌生体内での免疫トレランスに打ち勝ち、抗腫瘍機能を維持することができる細胞治療法の開発を目的として研究を開始した。 ①非免疫寛容マウスモデル(FVB/N)にて、LAP吸着カラムを用い免疫抑制性細胞を吸着除去した環境下で、癌抗原ペプチドを抗原提示する抗原提示細胞と、T細胞エフェクター機能増強のための1)抗OX40抗体2)mutant-B7-DC-Fc癒合タンパク、免疫チェックポイント阻害剤である3)抗PD-1抗体をそれぞれ共培養して癌特異的CTLを誘導した。レシピエント担癌(非免疫寛容)マウスに細胞移入して、抗腫瘍免疫効果を観察しているところである。 ②養子細胞移入するためのヒト癌特異的CTL細胞の樹立をめざし、まず、1.インフルエンザ罹患既往やワクチン接種既往のあるボランティア(HLA-A24+)末梢血からの、HA特異的CTLの樹立可能であることを確かめた。 2.HA特異的ヒトCTL誘導の際、HAペプチドを提示するHLA-A24+抗原提示細胞と末梢血中T細胞の培養時に、OX40補助刺激、mB7-DC-Fc刺激、PD-1阻害剤を加えることが、ヒトリンパ球でのCTL誘導に有用であることを明らかにしているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きなトラブル無く概ね順調に研究を遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
①非免疫寛容マウスモデル(FVB/N)にて、LAP吸着カラムを用い免疫抑制性細胞を吸着除去した環境下で、癌抗原ペプチドを抗原提示する抗原提示細胞と、1)抗OX40抗体2)mutant-B7-DC-Fc癒合タンパク、3)抗PD-1抗体4)抗CTLA-4抗体をそれぞれ共培養して癌特異的CTLを誘導する。レシピエント担癌(非免疫寛容)マウスに細胞移入して、抗腫瘍免疫効果を観察する。さらに、移入前のCTL (CD8+T細胞) をCSFEで標識し、1)2)3)4)の各種免疫作用物質介入の有無により、移入後の担癌レシピエント内でのCD8+T細胞分裂回数を比較する。経時的に担癌生体内でのCTLの機能維持状態を、細胞内IFN-γ染色(ICS)で観察する。1)2)3)4)の組合せを施行し、優れたCTLの樹立方法を検討する。 ②免疫寛容マウスモデル(HER2/neu transgenic mouse:HER2特異的な免疫トレランスマウスモデル)を用いて、上記免疫作用物質で誘導したHER2特異的CTLが免疫トレランス状態の担癌生体内でHER2特異的抗腫瘍免疫効果を示すことを調べる。 〈養子細胞移入するためのヒト癌特異的CTL細胞の樹立〉 ③HAペプチドを提示するHLA-A24+抗原提示細胞と末梢血中T細胞の培養によるHA特異的ヒトCTL誘導時に、OX40補助刺激、mB7-DC-Fc刺激、PD-1阻害剤、CTLA-4阻害剤を加えることが、ヒトリンパ球でのCTL誘導に有用であることを明らかにする。 ④大腸がん患者末梢血から大腸癌抗原特異的ヒトCTLが、大腸癌に特異性の高い4種類の癌抗原ペプチドと上記の免疫学的介入(免疫抑制性細胞吸着除去、OX40補助刺激、mB7-DC-Fc刺激、PD-1/CTLA-4阻害剤の使用)で効果的に誘導できることを確かめる。さらに、誘導できた癌抗原ペプチド特異的CTLが、大腸癌細胞株や、患者から切除された大腸癌細胞に対して抗腫瘍効果を示すことを調べる。
|
Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに研究費を使用した。生じた次年度使用額において、がん特異的CTLの誘導を観察するための抗IFN-γ抗体の購入を計画している。
|
Research Products
(2 results)