2018 Fiscal Year Research-status Report
Deveropment of intraoperative identification of autonomic nerves through a myelin-binding fluorofore
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18K08625
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 洋平 大分大学, 医学部, 助教 (90572008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
花田 礼子 大分大学, 医学部, 教授 (00343707)
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 准教授 (00404369)
赤木 智徳 大分大学, 医学部, 助教 (80572007)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経同定 / ニューロフィラメント / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は直腸手術における骨盤内神経の同定を確実にすることで同手術において頻度の高い合併症である神経損傷を予防し手術成績を向上することであり、腹腔鏡下術中自律神経同定法を開発し、臨床応用を目指している。神経同定方法には神経特異的ペプチドや神経成長因子を蛍光標識し、適切な波長にて蛍光観察する方法などの選択肢がある。これまでに、脳科学の研究分野では神経細胞を生きたまま標識できる蛍光プローブが数々開発されており、実験動物やヒトの初代培養神経細胞を固定処理せずに生きたまま標識可能な膜透過性蛍光プローブ等が市販されている。これらの有用性および安全性が確認されれば、術中に神経を可視化することにより神経損傷を未然に防ぐことが可能である。 初年度の研究としては、手術にて切除されたヒト大腸切除標本を用いて、術中に神経組織を同定することを想定して、蛍光標識による神経組織の可視化を試みた。古典的には、病理組織標本における神経特異的な染色方法として、神経細胞の粗面小胞体を染めるニッスル染色、髄鞘を染めるルクソールファストブルー染色、アストラサイトの突起を染めるホルツァー染色などが知られている。in vivoでの神経組織観察に先立ち、ex vivoでの古典的な染色法による神経組織の同定法を確立すべく検討を行った。ex vivo実験における神経組織については当教室にて準備できる大腸切除標本を用いて、その腸管壁内神経叢をターゲットとすることとした。また、神経特異的ペプチドや成長因子をターゲットとした免疫染色法についても検討した結果、抗ニューロフィラメント抗体および蛍光標識された2次抗体を用いて、腸管壁内神経叢を蛍光標識することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経同定の方法として、神経細胞に特異的に発現している中間径フィラメントであるニューロフィラメントをターゲットとした蛍光免疫染色法により、ex vivoにおいて腸管壁内神経細胞叢の可視化に成功した。直腸手術における骨盤内神経の可視化を最終目標とする本研究において、腸管の蠕動運動を司る自律神経の可視化に成功したことは本年度の大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
ex vivoでの研究により神経特異的な細胞内分子からの蛍光シグナルを間接的に得ることにより、神経組織の同定が得られれば、これをin vivo研究にて証明する予定である。当教室ではin vivo研究のための施設設備はそろっており、マウスだけでなくブタなど大型動物を用いて腹腔内を蛍光イメージングにて観察することにより、非神経組織とは明確に区別された腹腔内自律神経(迷走神経、骨盤神経叢)をその場で観察される蛍光画像のコントラストによって同定する。ニッスル染色やルクソールファストブルー染色、あるいは抗ニューロフィラメント抗体法に最も観察に適した条件を検討し、判別された組織を病理学的にも確認する。また、腸管壁内の神経叢を同定するこの方法は直腸手術における骨盤神経の同定につながるだけでなく、Hirschsprung病における正常腸管と無神経節腸管の境界を同定し、同疾患に対する腸管切除の際の切除範囲の同定にも有用となりうる。これには腸管壁における蛍光イメージングの感度を十分に高める必要があり、ex vivoでの腸管壁内神経叢同定法も継続して行っていく予定である。
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