2019 Fiscal Year Research-status Report
マイクロナノ基板を用いたEMTを介さない膵管腺癌の浸潤・転移のダイナミクス解析
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18K08639
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮武 由甲子 北海道大学, 医学研究院, 助教 (10421984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 正典 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30241318)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん細胞 / 膵がん / 三次元培養 / オルガノイド / 癌細胞生物学 / 細胞培養 / マイクロナノテクノロジー / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、学内医工連携プロジェクトにより、半導体製造に用いられる微細加工技術を応用して、3D細胞組織培養デバイスであるマイクロ・ナノ基板(PCT/JP2018/014119)を開発した。本基板を用いて癌細胞を培養すると、癌細胞は組織極性とダイナミックな運動性を獲得した微小な癌腫瘍組織(微小癌、microtumor)への自発的分化が誘導される。マイクロ・ナノ基板上で膵管腺癌(PDAC)細胞を一晩培養することによるライブイメージング解析の結果、PDAC細胞は、マイクロパターン上に足場を獲得しながら生細胞による細胞内細胞浸潤(entosis)を起点にして、微小癌をZ軸方向へ自己組織化することがわかった。また、基板上の微小癌は、巨大な葉状仮足を形成し、まるで飢えた多細胞生物のように周囲の死細胞の核酸を大量に体内へ取り込んで伸長する様子が観察された。その結果、微小癌表面にはフォスファチジルセリンなどの死細胞デブリスを大量に蓄積していることがわかり、体表面を死細胞マーカーで覆われた微小癌は、免疫細胞の攻撃対象となっていない可能性が示唆された。また、マイクロ・ナノ基板は、癌細胞培養するだけで、2D培養や一般的なスフェロイド培養では不可能であった、悪性度の異なる患者由来癌細胞のマイクロ組織レベルの特徴の違い(腫瘍サイズ、腫瘍伸長性、管腔への分化率等)を明らかにすることができた。マイクロ・ナノ基板によって得られる、in vitroでのマイクロ組織レベル解析である微小癌ダイナミクス解析は、これまでにない未踏の研究領域であるため、革新的な癌治療法開発へのヒントが大いに得られることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究代表者らが発明したマイクロ・ナノ基板を使用して、悪性度の異なる膵癌細胞株を用いたダイナミクス解析によるこれまでにないマイクロ組織レベルでの生きているがん腫瘍組織の動態解析をin vitroで行った。解析の結果、上皮間葉転換(EMT)を介さない癌細胞集団化による組織分化による抗癌剤抵抗性の増強、アグレッシブな浸潤転移に関わるダイナミクスの一端を明らかにし、現在、論文再投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、さらなる詳細なマイクロ・ナノ基板を用いた膵微小癌のダイナミクス解析を行い、新しい学問領域となり得るであろう体外でのマイクロ組織レベルのがん病態生理学的ダイナミクス解析による抗がん剤開発における重要性を証明し、社会的に影響力のある論文発表を早急に目指す。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] New micro-cell culture platform "micro/nanoplate" induces self-organization of microtumor in PDACs2019
Author(s)
Ohta Y, Miyatake Y, Kuribayashi-Shigetomi K, Ikeshita S, Subagyo A, Sueoka K, Kakugo A, Amano M, Takahashi T, Okajima T, Kasahara M
Organizer
The 38th Sapporo International Cancer Symposium
Int'l Joint Research
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