2018 Fiscal Year Research-status Report
胆管癌幹細胞に高発現するS100分子群の癌悪性形質維持機構の解明
Project/Area Number |
18K08643
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小嶋 克彦 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (80345743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 敏一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60212023)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | S100A10 / 細胞遊走 / 細胞浸潤 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、胆管癌幹細胞性を示すCD274low細胞で高発現するS100分子群の胆管癌悪性形質獲得、維持における役割を明らかにすることを目的としている。CRISPR/Cas9法により樹立したS100A10ノックアウト細胞が示した細胞増殖能の低下に加え、本年度は、細胞遊走能と浸潤能の解析を行った。スクラッチアッセイとインベージョンチャンバー法によりこれらを評価したところ、両能力の顕著な低下が観察された。これらの結果を裏付けるように、細胞辺縁部のアクチンメッシュ構造、核周辺部のアクチンアーク構造がノックアウト細胞では未発達であることが顕微鏡観察により明らかとなった。また、focal adhesionsは形成されていたが、これにassociateするdorsal stress fibersが細胞辺縁部に蓄積していた。アクチンアーク構造が未発達であることと合わせて考えると、ノックアウト細胞では、細胞運動を生じさせるために必要な細胞骨格や細胞膜ダイナミクスが著しく低下しているものと考えられた。このアクチン骨格に関する表現型がミオシンIIAノックアウト細胞と類似していることから、S100A10との機能関連について現在解析をすすめている。一方、臨床癌組織標本の詳細な解析から、細胞増殖部位や浸潤先端部位においてS100A10の発現増強傾向を見出し、この過剰発現が癌悪性化と密接に関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目標であるS100A10の胆管癌悪性化における役割の解明として、細胞骨格や細胞膜のダイナミクスへの直接的な関与を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウト細胞の表現型より明らかとなったアクチン細胞骨格のダイナミクスを特にS100A10とミオシンとの間の機能的連携に着目して解析する予定である。ここでは高解像度レーザー顕微鏡によるリアルタイム観察が必要と考えている。また、ヌードマウスを用いたin vivo移植系により造腫瘍や癌幹細胞の維持におけるS100分子群の関与についても解析を進めていく予定である。
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