2018 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌における効果的なイリノテカン療法を目指したバイオマーカーおよび新薬の開発
Project/Area Number |
18K08683
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安藤 幸滋 九州大学, 大学病院, 助教 (20608864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
佐伯 浩司 九州大学, 大学病院, 講師 (80325448)
中西 良太 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90771254)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イリノテカン / topoI-pS10 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は消化器癌における効果的なイリノテカン療法を目指したバイオマーカーおよび新薬の開発である。イリノテカンを代表とする、topoI阻害剤耐性メカニズムにはtopoI阻害剤暴露後のtopoIの分解が関与している。topoI阻害剤投与後にtopoIが分解される癌細胞では耐性となる。topoIの分解にはDNA-PKcs, Ku70, Ku80, BRCA1, BARD1の各分子が関わっていることを我々は発見した(Oncotarget, 2017)。このメカニズムの過程でtopoIセリン10残基のリン酸化が重要であることを見出し、この部位の抗体(topoI-pS10)を作成した。 平成30年度はイリノテカン感受性バイオマーカーとしてtopoI-pS10抗体の開発を行った。大腸癌細胞株を用いて、イリノテカン感受性を確認したところ、HCT15株は耐性であり、Colo205株は感受性株であった。これらの細胞株のペレットを用い、topoI-pS10抗体にて免疫組織化学染色を行ったところ、予想通り、耐性株はtopoI-pS10陽性となり、感受性株は院生であった。臨床検体を用いた研究では、イリノテカンを実際に用いた検体を染色した。胃癌は79例、大腸癌は47例に行った。その結果、胃癌では感度90.6%、特異度66.7%、大腸癌では感度82.3%、特異度76.7%と比較的良好な結果が得られた。現在、症例数を増やし、この抗体の検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であった、topoI-pS10の染色とイリノテカン感受性の相関が比較的良好であった。症例数は約120例を超えている。平成30年度の目標は到達したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、症例数を増やし、topoI-pS10の免疫組織化学染色の検証を行う。 また、新薬の開発として、イリノテカンの作用を増強させる、新規小分子化合物の開発、proteasome inhibitorとの併用の研究に取り組んでいく。
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