2019 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢プロファイリングによる肝性脳症の分子機序解明と革新的治療の開発
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18K08684
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
副島 雄二 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (30325526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 洋平 九州大学, 大学病院, 助教 (10792244) [Withdrawn]
戸島 剛男 九州大学, 大学病院, 医員 (40608965) [Withdrawn]
本村 貴志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50719507) [Withdrawn]
吉住 朋晴 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80363373)
原田 昇 九州大学, 大学病院, 講師 (80419580)
池上 徹 九州大学, 大学病院, 講師 (80432938)
伊藤 心二 九州大学, 大学病院, 助教 (90382423)
長尾 吉泰 九州大学, 大学病院, 助教 (70608968)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 生体肝移植 / 肝移植 / 胆汁酸 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に我々は腸内細菌叢の組成が短鎖脂肪酸の組成および肝門脈圧の上昇に関与することを報告した。本年度は血清中の胆汁酸組成をメタボロミクス技術を用いて解析し、以下のとおり腸内細菌叢および短鎖脂肪酸組成と関わりのある胆汁酸を同定した。 【背景】胆汁酸代謝は肝硬変の進行に伴い変化する。特に一次胆汁酸のタウロケノデオキシコール酸(TCDCA)、グリコデオキシケノデオキシコール酸(GCDCA)は、肝機能悪化により増加する。また、二次胆汁酸の合成とClostridium目細菌の関与は報告されているが、胆汁酸と腸内細菌の関係性の報告は少ない。【目的】腸内細菌叢、胆汁酸、短鎖脂肪酸の組成を明らかにし、生体肝移植患者における臨床因子との関連性を検討する。【対象と方法】対象は2017年6月から12月に当科にて生体肝移植を施行したレシピエント13名とドナー12名。術前の便と血清を採取した。1)腸内細菌叢の同定:便中16s rRNAの解析により細菌叢を同定した。2)短鎖脂肪酸・胆汁酸解析:血清胆汁酸および便中短鎖脂肪酸の質量分析を行った。3)臨床因子との関連を検討した。【結果】血清胆汁酸解析でレシピエント群の総胆汁酸値、TCDCA値、GCDCA値が有意に高値であった(いずれもp<0.001)。これらの値は、レシピエントのMELDスコアと有意な正の相関を示した(各々p=0.022、p=0.023、p=0.0087)。また、Clostridium目細菌とTCDCA値、GCDCA値は有意な負の相関を示した(各々p=0.0024、p<0.001)。さらにGCDCA値は、Clostridium目細菌の産生物質である便中酪酸値とも負の相関を示した(p=0.0261)。【まとめ】肝硬変の進行に伴うClostridium目細菌とその産生物質の減少が、一次胆汁酸の代謝障害から肝機能増悪に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに11名の肝移植患者、10名の健常者(ドナー)の便、血清を採取し、解析を行った。また、前年度の解析結果と合わせて、胆汁酸解析・腸内細菌解析の結果を統合的に解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
肝移植術後の検体採取、解析を行い、腸内細菌叢と短鎖脂肪酸、胆汁酸の肝硬変に与える影響および生体肝移植との関連性を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度は物品費未執行、また旅費による支出が当初の計画より変わったため、754,846円が次年度使用額として発生した。 次年度(最終年度)は今後の研究の推進方策に記した内容及び検体数を増やし術後も含めた便の解析を行う。
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Research Products
(2 results)