2018 Fiscal Year Research-status Report
Role of smooth muscle cells in invasion and metastasis of scirrhous gastric cancer
Project/Area Number |
18K08691
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 心 自治医科大学, 医学部, 講師 (60382909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
春田 英律 自治医科大学, 医学部, 助教 (20406143)
倉科 憲太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382900)
宮戸 秀世 自治医科大学, 医学部, 講師 (90813163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スキルス胃癌 / 平滑筋細胞 / 浸潤 / 上皮間葉移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
スキルス癌の進展には、がん細胞と間質細胞との相互作用が重要な役割を果たしていることが指摘されている。本研究では、消化管壁内の粘膜筋板と筋層に豊富に存在する平滑筋細胞に焦点を絞り、がん細胞と平滑筋細胞を混合培養することによる癌細胞の形質変化を把握するとともに、分子細胞学的手法を駆使しその過程に関わるタンパク、microRNAを同定することによってスキルス胃癌の進展に関わる未知の分子メカニズムを見出し、この細胞間相互作用を制御する物質を探索し、スキルス胃癌に対する新規治療戦略を構築することを目標とする。1.外科手術で得られたヒト食道癌、胃癌組織から筋層を分離、cell separation kitを用いて単細胞に分離した後in vitroで培養し、新たな消化管平滑筋細胞の初代培養を試みた。 2.予備実験として、平滑筋細胞の代わりに腹腔内の間葉系細胞を用いて、がん細胞と共培養し、その増殖能、運動能が亢進することを確認した。また、抗原刺激したリンパ球と共培養し、リンパ球の増殖を抑制することも確認した。 3.申請者が過去の研究で樹立した食道筋層由来の平滑筋細胞および市販のヒト胃壁由来平滑筋細胞を用いて、ヒト胃がん細胞株(MKN45, OCUM-1、NUGC-4)との混合培養を行い、細胞増殖能、遊走能が促進される傾向を認めた。 4.上記の平滑筋細胞上に免疫チェックポイント分子PD-L1が有意に発現しており、Interferon-g, TNFなどのサイトカイン刺激によってその発現が増強することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな検体を用いて実験に使用できる新たな消化管平滑筋細胞の初代培養するという作業には成功しなかったが、過去に樹立した食道平滑筋細胞および市販の胃癌平滑筋細胞を用いて、胃がん細胞との相互作用を検討する実験システムを確立し、平滑筋細胞が胃癌細胞の増殖能および遊走能に影響を与えている事実を見出すことができた。また、表面抗原の解析から免疫制御分子PD-L1を発現する新事実を見出し、平滑筋細胞の免疫細胞に対する影響も検討する価値のあることを示唆する有益な知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立したIn vitroの実験システムを用いて、平滑筋細胞と胃がん細胞株の混合培養行い、浸潤能の変化をinvasion assayで、マトリックス分解酵素、血管新生因子の産生能をZymographyおよび内皮細胞を用いたtube formation assayで検討する。また、がん細胞の上皮間葉移行(EMT)の程度を、E-Cadherin、Vimentin, SMAなどマーカーの発現で解析する。さらに、NOD/Scid mouseに皮下接種し造腫瘍性の変化を検討する。それらの生物学的事象を確認した後、それぞれのステップに関わるタンパクやmicroRNAを模索していく予定である。また、平滑筋細胞がPD-L1を発現ことから、Tリンパ球の増殖に対する平滑筋細胞の影響についても検討を加えることを付加する。
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Causes of Carryover |
ほぼ計画通り使用している。未使用額については、2019年度消耗品費として使用予定である。
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