2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of smooth muscle cells in invasion and metastasis of scirrhous gastric cancer
Project/Area Number |
18K08691
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 心 自治医科大学, 医学部, 講師 (60382909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 丈二 自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
春田 英律 自治医科大学, 医学部, 講師 (20406143)
倉科 憲太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70382900)
宮戸 秀世 自治医科大学, 医学部, 講師 (90813163)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スキルス胃癌 / 平滑筋細胞 / 浸潤 / 上皮間葉移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管壁内の粘膜筋板と筋層に豊富に存在する平滑筋細胞とがん細胞を混合培養することによる癌細胞の形質変化を把握することによってスキルス胃癌の進展に関わる分子機序を解明し、スキルス胃癌に対する新規治療戦略を構築することを目的として、以下の知見を得た。 (1)外科手術で得られたヒト食道癌、胃癌組織から筋層を分離、cell separation kitを用いて単細胞に分離した後in vitroで培養した平滑筋細胞株および市販のヒト胃壁由来平滑筋細胞を用いて、ヒト胃がん細胞株(MKN45, OCUM-1、NUGC-4)との混合培養を行い、細胞増殖能を10%~30%、遊走能を10%~35%程度促進した。一方、ダブルチャンバーを用いて非接触下で混合培養すると、増殖能、遊走能ともに有意な増強効果は認めなかった。また、これらの平滑筋細胞上には免疫チェックポイント分子PD-L1が有意に発現しており、IFN gamma, TGF-betaの刺激によってその発現が増強した。 (2)マウス胃由来平滑筋細胞を購入し、培養した後、同系胃癌細胞 YTN16と混合培養したところ、その増殖を10~20%程度促進させたが、有意差には至らなかった。また、非接触下で混合培養するとその効果は認めなかった。また、マウス平滑筋細胞もPD-L1、PD-L2を有意に発現しており、IFN gammaの刺激でPD-L1の発現が増強した。 (3) 腹膜播種にてパクリタキセル腹腔内化学療法を施行したスキルス胃癌患者において、奏効後に胃切除を施行できた患者の予後は極めて良好で、切除標本の組織中には平滑筋細胞が多量に残存していることが確認された。 以上の結果から、平滑筋細胞は胃癌細胞と直接接触することによりその進行を促進するとともに、癌細胞に対する免疫応答を抑制する可能性があることが示唆された。
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