2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification and functional analysis of a liver stromal cell-derived factor contributing to liver metastasis of colorectal cancer cells
Project/Area Number |
18K08693
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
大石 智一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主任研究員 (50442546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん-間質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸がんは世界的に増加しているがんであり、本邦においても罹患率が第1位となっている。患者の予後不良に直結する大腸がんの転移は、肝臓で最も多くみられることから、これを標的とした新たな治療法の確立が望まれている。実際に大腸がんの転移の約7割は肝転移であり、肝指向性 が認められる。がんの転移には、原発巣のがん細胞と転移先臓器の間質細胞との相互作用が重要であり、転移先臓器でがんの転移を支持する微小環境「ニッチ」 を形成している場合、がんの転移の成立に寄与する。 本研究課題では大腸がんの治療において、「がん細胞」と「ニッチ」の両視点から大腸がん肝転移指向性の機構を解明し、間質細胞によるニッチの形成を阻害す ることにより大腸がんの肝転移を抑制することを目的とする。本年度は肝臓間質細胞が分泌する大腸がん肝転移を支持する因子の探索を行い、下記の結果を得た。 In vitroの実験において、ヒトおよびマウスの肝臓間質細胞の培養上清が顕著に大腸がんの増殖性を亢進させたことから、肝臓間質細胞が分泌する大腸がんの増 殖性を亢進させる因子の同定を試みた。ヒトおよびマウスの肝臓間質細胞の培養上清中に含まれる因子を網羅的に検討した結果、共通して関与が認められた4種の因子を同定した。そのうちの1種は線溶系制御因子であり、同因子のリコンビナントタンパク質の添加は大腸がん細胞の増殖ならびに悪性化を有意に亢進した。 in vivoの実験において、緑色蛍光タンパク質(GFP)を過剰発現させた大腸がん細胞を樹立し、マウスを用いた大腸がん肝転移モデルを構築し、同モデルを用いた検討により、既述の線溶系制御因子の阻害剤が大腸がん肝転移を有意に抑制した。
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Research Products
(8 results)