2022 Fiscal Year Annual Research Report
The elucidation of the exacerbating factors for pancreatic fistula and therapeutic application based on the prevention of intraperitoneal lipolysis
Project/Area Number |
18K08702
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長井 和之 京都大学, 医学研究科, 講師 (30567871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増井 俊彦 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (20452352)
上本 伸二 滋賀医科大学, 医学部, 学長 (40252449)
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵液瘻 / 不飽和脂肪酸 / 遊離脂肪酸 / 脂肪分解 / 膵切離 / 膵切除 / 術後合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓手術後の合併症の一つである膵液瘻は最も重大な合併症であり、膵臓術後死亡の最大の原因となっている。依然として膵液瘻の悪性化のメカニズムは明らかでなく、手術手技・デバイス、周術期管理の改善にもかかわらず、臨床上の大きな問題となっている。 膵液瘻のリスクの一つとして内臓性肥満が報告されているが、その機序については不明であった。本研究では急性膵炎のメカニズムの一つに脂肪酸が関与していることに着目し、漏出した膵消化酵素による腹腔内脂肪分解に伴う遊離脂肪酸の産生が手術部位局所の組織障害及び多臓器障害を起こすことで膵液瘻の重症化に関与していると仮説を立て、ラットモデルを作成し、予防策開発を行った。すなわち、ラット膵切離モデルにおいて中性脂肪の腹腔内投与により脂肪分解の促進と膵液瘻病態の増悪を認めたが、脂肪分解酵素阻害薬の混和投与により膵液瘻病態の改善を認めた。以上の知見から、腹腔内脂肪分解抑制は膵液瘻重症化予防の新規治療法となりうることが示唆された (Br J Surg. 2019 Apr;106(5):616-625)。 本研究では、次の段階としてラット膵切離モデルにおいて、これまでの中性脂肪を投与するモデルと比較し、より実臨床に近い状態を模す目的で、自家脂肪(両精巣周囲の脂肪組織を採取)損傷による脂肪溶解液を用いた膵液瘻悪化モデルを作成した。このモデルを用いて、リパーゼ阻害薬によるラット生存率向上、遊離脂肪酸製抑制(血清、腹水)、膵液瘻発生抑制を図り、良好な結果を得ている。またさらに適切な投与法の検討、開発を進めており、難水溶性であるリパーゼ阻害薬を Polyethylene glycol (PEG) に内包化したエマルジョンを作成し、腹腔内投与し、その効果を確認することにより、リパーゼ阻害薬、PEGの最適量の設定を進め、実臨床により応用可能な設定でも成果が得られている。
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Research Products
(1 results)