2019 Fiscal Year Research-status Report
Warburg制御因子MPCによる早期脳転移機序の解明と応用
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18K08704
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
工藤 敏啓 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 腫瘍内科副部長 (20593859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 太郎 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (40368303)
小関 準 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (20616669) [Withdrawn]
坂井 大介 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10621071)
石井 秀始 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (10280736)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 化学療法 / 癌 / シングル細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は特に、MPCが関わるメカニズム解析を中心に行った。本研究の背景として、がんの脳転移は予後を著しく低下させる。脳転移巣は強い治療抵抗性を示し、現在の抗がん剤や分子標的治療薬および放射線療法では根本的な有効性が得られないのが現状である。したがって、がんの本態に根ざした治療抵抗性の解明と治療法の開発が必須である。これまでの私たちの研究成果により、Warburg効果の鍵分子MPC(ミトコンドリア・ピルビン酸輸送体)による嫌気性解糖系の制御は、上皮間葉形質転換(EMT)を誘導してがん幹細胞化させ、複数の抗がん剤への治療抵抗性を獲得することが明らかになった。本研究では、脳転移を比較的きたしやすい肺がんなどを対象として、手術切除試料を用いた動物モデル(PDX: patient derived xenograft)と、血液脳関門(BBB)を構成する細胞群の三次元再構築から、シングル細胞により早期脳転移におけるMPCの役割を究明し、臨床応用を目指した。創薬の標的化、機序の解明、抵抗性の予測を通じて、難治がんの精密医療に貢献した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Warburg効果の鍵分子MPC(ミトコンドリア・ピルビン酸輸送体)による嫌気性解糖系の制御は、上皮間葉形質転換(EMT)を誘導してがん幹細胞化させ、複数の抗がん剤への治療抵抗性を獲得することが明らかになった。本研究では、脳転移を比較的きたしやすい肺がんなどを対象として、手術切除試料を用いた動物モデル(PDX: patient derived xenograft)と、血液脳関門(BBB)を構成する細胞群の三次元再構築から、シングル細胞により早期脳転移におけるMPCの役割を究明し、臨床応用を目指す。創薬の標的化、機序の解明、抵抗性の予測を通じて、難治がんの精密医療に貢献することとして研究を開始したが、手術症例における検討及び試験管内での検討が順調に進み論文化が得られているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、大阪国際がんセンターと大阪大学との共同研究を進め、得られたシーズの共同的な知財化や産学連携による導出を進める計画である。 ノックアウト(CrisprCas9)と過剰発現により、脳転移における効果を検討する。PKM2はすでにノックイン・ノックアウトのマウスを作成、飼育しており円滑に研究できる。新規化合物のスクリーニングを実施し、アッセイ系とヒット化合物のセットで、学から産に連携して導出する。また臨床データベース(AMED)を活用し、分子の発現(MP,PKM2,PDK)のレベルと、脳転移の頻度を検討する。
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Research Products
(3 results)