2021 Fiscal Year Annual Research Report
膵管内乳頭粘液性腫瘍の新規マウスモデルで発見された病態分子の臨床応用的機能解明
Project/Area Number |
18K08711
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山口 洋志 札幌医科大学, 医学部, 研究員
|
Project Period (FY) |
2018 – 2021
|
Keywords | 膵管内乳頭粘液性腫瘍 / IPMN / GNAS / IL-1ファミリー / SOX転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵管内乳頭粘液性腫瘍(Intraductal papillary mucinous neoplasm: IPMN)は膵腫瘍性嚢胞の最多を占める疾患であり、経時的に腺腫から非浸潤癌、浸潤癌と進行し、浸潤癌まで進行すると予後不良となる。しかし、その正確な悪性度や進行度の評価は困難であり、現状では画像所見や臨床徴候から予測しているが、治療方針を決定する上で大きな問題となる場合がある。そのため、IPMNの病態を反映する新規診断・治療標的分子の同定が急務であると考えられる。 本研究は、IPMNの発生に密接に関与する変異GNAS遺伝子を、任意のタイミングで膵臓特異的に発現させることができ、IPMNが発生する新規遺伝子改変マウスから得られた知見を基盤としている。この変異GNAS遺伝子によって発現誘導される病態関連分子に関して、ヒトIPMNにおける機能を明らかにし、新規診断・治療標的分子となり得るのか、その臨床応用的意義を明らかにすることを最終目的としている。これまでの研究活動スタート支援(16H07095)の成果から、主にIL(インターロイキン)-1ファミリーとSOX転写因子等に注目した解析を行っている。 当科におけるIPMN切除例のデータベースを作成し、臨床・病理学的特徴や手術成績、長期予後を明らかにした。さらに、術後死亡、疾患特異的死亡と関連する因子を同定し解析を進めている。腺腫病変と浸潤癌病変では切除後の予後が有意に異なることから、腺腫病変と浸潤癌病変を選んで、上記病態関連分子を中心に免疫染色を進め、病態分子発現状態の違いを解明している。In vitro解析として、IL-1ファミリーとSOX転写因子の発現調節機構に関して、GNAS遺伝子下流のシグナル伝達経路に注目し、薬理学的刺激や阻害による病態分子の変化をリアルタイムPCRや蛍光免疫染色で解析している。
|
Research Products
(1 results)