2019 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を目的とした膵癌におけるオメガ3不飽和脂肪酸の抗血管新生効果の検討
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18K08713
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
林 祐一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60811726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 洋一 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (40381800)
高橋 広城 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30381792)
坪井 謙 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (80592500)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | レゾルビン / オメガ3不飽和脂肪酸 / 血管新生 / NF-κB / 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,オメガ3不飽和脂肪酸のEPAやDHAの代謝産物であるレゾルビンを用いてin vitroの実験を行った.Cell Proliferation assayとしてWST-1法を行い,レゾルビンの膵癌細胞株に対する増殖能への影響を検討した.結果は,いずれの細胞株においても増殖抑制効果を認めなかった.次に,レゾルビンで処理した膵癌細胞株の培養上清中でELISAを行い,血管新生因子VEGFの産生量を評価した.コントロールと比べ,レゾルビン処理群でVEGF産生量の低下を認めた.レゾルビン100nMよりも1μMのほうがよりVEGFの産生量が低下しており,レゾルビンは濃度依存性に膵癌細胞株のVEGF産生を抑制する可能性が考えられた.しかし,その後の解析で,レゾルビンの溶媒であるDMSOの濃度により結果が大きく変動することが判明した. 2019年度は,DMSO濃度により膵癌細胞株のVEGF産生が変化する原因は特定できず,レゾルビンの溶解に使用したDMSO濃度を一定にすることで,実験を再度繰り返し行うこととした.その結果,レゾルビンの濃度変化によるVEGF産生量の変化は認められなかったが,qRT-PCRの結果では,VEGF mRNAの転写レベルにおいては,レゾルビン処理群のほうがVEGF発現低下をきたすことが示唆された.しかし,繰り返し検証を行ったが,結果が安定せず,その原因の特定には至っていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
レゾルビンは膵癌細胞株の血管新生因子VEGFの産生を低下しうる結果は得られているが,その検証は安定せず,繰り返し条件を変えながら実施する必要があり,研究そのものの進捗は滞っている状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
レゾルビンのVEGF産生を抑制するメカニズムとして転写因子NF-κBが関与していることが予想されるため,レゾルビン処理によるNF-κBの活性変化を蛍光免疫染色,核内タンパクのNF-κB ELISAで検証していく.
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き,繰り返す検証実験が重なったため,実質の経費としては少ない.今後は,レゾルビンによるNF-κBの活性変化を検証していくため,核内タンパク抽出キットやELISAキットの購入も必要である.また,レゾルビンの消費も多く,単価が比較的高いレゾルビンの追加購入も必要であるため,前年度の残額を用いてその購入費用に充当する予定である.
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