2021 Fiscal Year Research-status Report
抗VEGFR2抗体投与後早期のVEGF-A上昇の臨床的意義と新たな治療戦略の開発
Project/Area Number |
18K08720
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
若槻 尊 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器化学療法科, 医長 (60443876)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 切除不能進行・再発胃癌 / ラムシルマブ / VEGF-A / SNPs / 血管新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒト抗VEGFR2抗体であるラムシルマブが投与された切除不能進行・再発胃癌症例に関する先行研究で以下の知見を見出した:①全例において、ラムシルマブ投与後早期に血中VEGF-A値は上昇した②投与後早期の血漿VEGF-A値とその後の生存には負の相関があり、高値を呈する群の予後は低値群より有意に予後が不良であった③ヒト胃癌細胞株をヌードマウスに皮下移植した基礎検討において、マウス抗VEGFR2抗体であるDC101を投与後に上昇するVEGF-Aはヒト由来ではなくマウス由来であった。投与後早期に上昇するVEGF-Aは宿主由来であったことから、投与後早期の血漿VEGF-A値は遺伝子多型(SNPs)に規定される可能性があり、VEGF-A上昇に関与するSNPsを同定することでラムシルマブ併用化学療法の治療効果を事前に予測できる可能性がある。本研究の目的は、生殖細胞系列における候補遺伝子解析を行い、治療後早期に上昇する血中VEGF-A高値と関連する遺伝子多型を同定することである。 新型コロナウイルス感染拡大等の影響で、臨床研究の開始が大幅に遅れた。しかしながら2021年7月に1例目が登録され、現在までに10例がリクルートされた。最近は月1-2例のペースで症例を集積中で、本年12月頃を目途に、20症例以上の症例集積を見込んでいる。 2022年度は以下の解析を行う。SNPsの解析は外注委託を予定しており、DNAチップを用いジェノタイピングを行う。ラムシルマブ投与前後の血漿VEGF-Aを含む血管新生因子測定は、ELISAを用いがん研究会分子生物治療研究部で行う。最終的に①ジェノタイプ別に投与後早期の血漿VEGF-A値を比較し、投与後早期のVEGF-Aの上昇と相関するSNPsを同定する②これらのSNPsと治療後の予後を検討する。またラムシルマブ投与前後で変動する他の血管新生因子においても、同様の検討を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により、一時的に臨床研究が中止されたため。 またその後も移動制限や受診控えおよび胃癌自体の疫学的自然減少の為、当院の胃癌新規症例は減少し、当初見込んだ年間50例の症例登録の修正しなければならない状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年12月を目途に、20例以上の症例で解析を行う。この検討で、治療後早期のVEGF-Aと相関するSNPsが同定され予後との関連が示唆された場合、既往検体を用い当該SNPsの臨床的意義を検討し、胃癌ラムシルマブ治療のバイオマーカとなり得るか検討する。更に多施設共同研究を行い、大規模な胃癌症例集積を行い再現性を検討する。更に大腸癌2次治療においてもラムシルマブは使用される為、大腸癌においても検討する。 我々はマウスを用いた基礎検討で、マウス抗VEGF-A抗体・抗VEGFR2抗体を併用したVEGF/VEGFR2経路抑制が、それぞれ単剤を用いた場合より高い抗腫瘍効果を示すことを報告している(Mashima T, et al. Sci Rep 2021)。今後は、医師主導治験を企画し胃癌における抗VEGF-A抗体・抗VEGFR2抗体併用療法の有効性と安全性を検討する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、本研究の進捗が遅れている。また本研究では予算の大半をSNPs解析、ELISA解析に充てる予定で2022年12月を目途に解析を予定している。
|
Research Products
(1 results)