2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of evaluation method for arteriosclerotic lesions by measuring the "hardness" of blood vessels using an atomic force microscope
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18K08729
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松尾 映里 三重大学, 医学部附属病院, 技術補佐員 (40751665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 亮 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (90324524)
岡本 貴行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30378286)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / YAP/TAZ / 血管内皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、動脈硬化病変における基質の硬さに対する血管内皮細胞機能の制御機構の解明である。動脈硬化症のプラークは、病状の進行により脂肪性から、線維化、石灰化まで組織が変化し硬化していく。本研究では、動脈硬化症のプラークにおいて血管内皮細胞が、細胞外基質の硬さに対する感度をどのように調節し、細胞機能を制御しているのかその分子機構を解明する。血管内皮細胞を硬さの異なる細胞外基質において培養し、基質の硬さにより細胞機能を制御に影響を与えるか検討した。 軟らかい基質の細胞では、細胞の縦長比が大きくなり、Dll4発現が誘導され、VEGF刺激により、さらに高くなり、Notchシグナルとして伝達され、下流の遺伝子HEY1の転写が活性化されることを明らかにした。 また、硬い基質では、YAPは活性化され、核に移行し、標的遺伝子あるCTGF,CYR61の発現が誘導され、柔らかい基質では、YAP/TAZは活性化されず、細胞質に局在することが確認され、柔らかい基質で、YAPの核以降を誘導すると、Dll4の発現が抑制されたことから、Dll4の硬さに依存した発現のメカニズムは、YAPの活性が重要な役割をしている可能性が示された。 血管の血液凝固線溶や血管新生を制御する遺伝子の発現量をリアルタイムPCRにより解析した結果、軟らかい基質ではVEGFRが誘導され、トロンボモジュリン、Tissue facter の発現を誘導し、 IL-6の発現を抑制することが示された。以上の結果から、軟らかい基質は、YAPが不活性され、Dll4を誘導し、Notchシグナルを活性化し、血管新生関連受容体、凝固因子であるトロンボモジュリン、TFを誘導し、抗炎症サイトカインIL-6の発現を抑制することが示され、血管の硬さが血管内皮細胞の機能を調節する一因となることを示した。
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