2019 Fiscal Year Research-status Report
血管周囲脂肪組織の新たな知見:血管外側からの動脈硬化促進機序の分子生化学的解明
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18K08730
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 友彰 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80402709)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血管周囲脂肪 / 炎症性サイトカイン / インターロイキン |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年6月に検体採取が終了。8月よりサンプルを使って、脂肪組織に発現しているサイトカインを測定した。測定はおよそ2019年3月には終了した。 この研究は、冠動脈周囲の脂肪組織が冠動脈の動脈硬化形成にどのような影響を及ぼすのかを調べるものである。冠動脈に動脈硬化を有するCABG患者と、動脈硬化を有しない弁膜症患者から術中に脂肪組織を採取して、測定した。この研究のデザインは、これまで世界で数本の報告しかなく、実臨床におけるデータとして非常に貴重である。 結果:IL-1.LI-6、IL-10. TNFa,INF,Arg-1などの炎症に関連するメディエーターを測定した。結果から分かったこと:同じ個体の脂肪組織でも部位によってサイトカインの発がんが違う。ほとんどのサイトカインは大動脈周囲脂肪が一番高い。動脈硬化患者はどの部位をとっても炎症性サイトカインが、非動脈硬化患者に比べ明らかに高い。 特に、IL-1b、IL-10. IL-6は、動脈硬化患者の冠動脈周囲脂肪に優位に高く発現していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に経過し上記結果をまとめ考察した結果、おおよそ予想していた結果が出た。 ・動脈硬化を有する冠動脈周囲脂肪では何らかの炎症を反映する反応が起こっており 周囲脂肪の炎症反応が、外側から動脈硬化に影響を及ぼしている可能性がある ・動脈硬化患者では、全身のいたるところの脂肪において炎症サイトカインが高く、 脂肪の性質そのものが、動脈硬化に悪影響を及ぼしている可能性が高い
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Strategy for Future Research Activity |
・動脈硬化の機序はいまだ不明な点が多いが、血管内腔からの機序だけでなく、 外側からの影響も合わせて解明していくべきである。 ・外側メカニズムを解明することで、動脈硬化予防が期待できる。つまり、抗炎症性 サイトカインを周囲に浸透させることで予防あるいは減退できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
データ解析ソフト購入まで至らず。また2019年にいくつかの学会に参加予定であったが、当教室において予期せぬ人事の混乱があり、急遽教授選挙が行われた。そのため学会参加ができなかった。その費用を繰り越した。次年度に繰り越すこととなった。
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