2019 Fiscal Year Research-status Report
Improvement of the patency rate for a small diameter vascular garft using Diamond-like-carbon coating
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18K08733
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村岡 玄哉 岡山大学, 大学病院, 医員 (90816258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 治仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00550857)
大澤 晋 岡山大学, 大学病院, 講師 (20643414)
藤井 泰宏 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (40534673)
中谷 達行 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 教授 (50520920)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Diamond-like-carbon / 人工血管 / ePTFE / カルボキシル基 / 血液適合性 / タンパク付着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、酸素付加DLC(カルボキシル基付加DLC;C-DLC)を人工血管にコーティングすることに成功した。C-DLCコーティング成膜法については特許申請を行った。 さらに、開発したC-DLCに対する血液適合性を検査した。タンパク付着のSDS-PAGE分析による網羅的解析を施行した。通常のePTFEと、従来のDLC、C-DLCの間で比較検討した。ほぼすべてのタンパクバンド領域で、タンパクの付着量は 通常ePTFE < DLC < C-DLC であった。C-DLCは親水性があきらかに向上していることから、検査前は血栓形成性は一番低い物と考えていたが、このバンドによると、フィブリノーゲンもアルブミンもともに付着しやすいことになり、必ずしもC-DLCの血液適合性が一番良いとは言えない状況であると考えられた。この結果をうけ、大動物への植え込みの前に、In-Vitroでの血液適合性、特にタンパク付着について、さらに詳しく調べる予定としている。また、In-Vitroでは高額な大動物による試験の前に、Ratを用いて、血栓形成性をみるIn-Vivo での実験を試行した、ラットの大腿動静脈を露出し、サーフロー針でカニュレーションし、点滴ラインで動脈脱血、静脈送血を行い、途中に、ePTFE人工血管を間置し、血液を20分人工血管内を還流させた。そうすると、驚くことに、血栓の付着は一見して明らかに、Non coating < DLC < C-DLC であった。従来の親水性や平滑性がよければ、血栓形成性に有利という結果と逆の結果であり、表面ゼータ電位、表面エネルギーなどが関与している物と思われ、工業的分析も必要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C-DLCは通常のDLCより血液適合性がよいと予想していたが、悪い可能性がある。開発としてはむしろ、血栓形成を促すものに使用が可能とは思うが、高開存率の人工血管開発という観点からは、一歩後退したといわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、カルボキシル基とまったく逆のアンモニウム基を付加したDLCを開発し、人工血管にコーティングして、開存率の向上を試みる。また、親水性の向上が、血液適合性につながらないというのは非常に興味深い所見である。ゼータ電位、表面エネルギーの従来のDLCやCoatingの無い状態との比較、C-DLCの平滑性のSEMによる確認を行う予定である。また、一応、C-DLC人工血管をミニブタの動脈に植え込んで、本当に血栓閉塞しやすいか? 確かめてみる予定である。
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Causes of Carryover |
予想した実験結果がでなかったため、高額な大動物実験を試行しなかった。今後、新しいDLCを開発し、大動物実験を行う予定である。 また、本年度は、ゼータ電位、表面エネルギー、付着タンパクの詳細な分析など、当初に予定していなかった実験を計画しており、当該費用に支出する予定である。
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Research Products
(1 results)