2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on novel and simple methods of creating 3D heart models for treatment simulation of congenital heart disease
Project/Area Number |
18K08743
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
片岡 功一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (30379771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 政明 自治医科大学, 医学部, 教授 (30177703)
鈴木 峻 自治医科大学, 医学部, 助教 (00625379)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / シミュレーション / 心臓模型 / 3Dプリント / CT |
Outline of Annual Research Achievements |
先天性心疾患は多様性に富むため、患者ごとに作製した模型を用いて手術やカテーテル治療の計画立案・シミュレーションができれば、治療成績は格段に向上すると考えられるが、いまだ限られた報告しかない。模型の作製は従来専門業者に委託するしかなく高額でもあり、現状では日常診療への応用・普及はほとんど進んでいない。 本研究の目的は、最新の3Dプリント技術を活かし、先天性心疾患に対する外科手術およびカテーテル治療の成績を向上させることである。そのために、手術やカテーテル治療のシミュレーションに有用な精確性を有し、かつ安価な中空立体心臓模型を自施設で簡便に作製できるシステムの確立を目指している。2014年に我々は、市販のパーソナル3Dプリンターを用いて患者データから立体心臓模型を作製する、簡便で新しい独自の手法を考案した。その後、実際に患者のCT画像データから模型を作製し、外科手術やカテーテル治療のシミュレーションに臨床応用をはかってきた。 2019年度はさらに数例の患者において模型を作製し、共同研究者である心臓血管外科医とともに、ひき続き外科手術における有用性を検討した。また、動脈管開存や冠動脈瘻に対するカテーテル治療のシミュレーションを行い、カテーテル治療における模型の有用性を検討した。これら有用性の検討結果を各種学会および2編の英語論文で発表し、積極的に外部からの意見も聴取するように努めた。日常的な治療カンファレンスでも模型を用いて治療法を検討し、広く学内の他のスタッフの意見を募った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年度に模型作製の基になるCT画像の精度が原因で、本研究の模型作製法では再現しえない心内構造(両大血管右室起始症例における小さな異常筋束)もあり得ることが判明した。すなわち、本研究の作製模型における、疾患の再現性の限界点が見えてきたため、その原因について考察し、より精確な模型を作製するための克服法(CT撮像条件等)を検討した。2019年度は、この検討も活かして、さらに数例の模型作製を行った。模型では再現しえない構造をも含めて、外科手術における有用性をどのように評価すべきか、外科医への聞き取り(アンケート)内容も再検討した。学会や論文発表を通じて、広く外部からの意見も聴取するように努めた。3Dプリンターの不具合により模型作製の中断を余儀なくされた時期があったため、当初の予定よりも研究の進捗に遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度、本研究の模型作製法では再現しえない心内構造もあり、その主たる原因が模型作製の基になるCT画像データにあることが判明した。より精度の高いCT画像データを得つつ被曝量を低減するようCT撮像条件を工夫する努力を継続する。どのような構造は精確に再現でき、どのような構造は再現しがたいかという再現性の限界を見極めることも重要であり、今後の研究でも検討を続ける。再現しえない構造もありうる模型であることを前提に、共同研究者である外科医とともに有用性の評価法を工夫し、研究を推進する。また心内構造の再現性という質的な精確さとともに、各構造の大きさ(血管径)の再現性という量的な精確さの検討も行う。すなわち、立体模型における主要構造の計測値を元のCT画像上の計測値と比較し、模型が元のCT画像をどの程度精密に再現できるか検証を続ける。 動脈管開存など比較的構造が単純な疾患については、模型が再現性に優れカテーテル治療において有用であることが論文発表を通じて示されている。ひき続き症例を増やし、また対象疾患を広げてカテーテル治療の有用性検討の研究を推進していく。研究代表者である片岡功一が2019年度末で異動し、研究施設においては客員研究員になった。2020年度も研究を円滑に進めていけるよう、新たに鈴木峻を研究分担者に加えた。2020年度は外科手術,カテーテル治療の各々について、さらに5症例以上のデータを集める計画である。 研究で得られた結果を論文や学会で発表し、よりよい模型作製法の確立と日常診療への普及を目指し、広く外部からの意見も聴取するよう努力める。
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Causes of Carryover |
(理由)模型作製法と評価法の見直し、機器の不具合により、データ収集が遅れているため。 (使用計画)模型作製法と評価法をさらに改善し、修正した計画に基づいて研究を推進する。既存の機器を用いて研究を開始したが、不具合を生じたため本研究のデータ解析・管理専用のコンピュータおよび3Dプリンターを購入した。厳密な患者個人情報管理に基づき研究を推進し、研究成果について論文や学会で発表していく予定である。
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Research Products
(7 results)