2020 Fiscal Year Research-status Report
閉塞性動脈硬化症重症下肢虚血患者の予後に対する悪性新生物の影響
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18K08746
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
駒井 宏好 関西医科大学, 医学部, 教授 (00231324)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 閉塞性動脈硬化症 / 悪性新生物 / 重症下肢虚血 / 包括的高度慢性下肢虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
外科的血行再建もしくは血管内治療を受けた閉塞性動脈硬化症重症虚血肢患者において、悪性新生物の合併が患者の生命予後や肢の予後にどのような影響を与えるのかを調査した。日本における外科手術のデータベースNational clinical database(NCD)の中の重症虚血肢患者データベースであるJCLIMBに登録された多施設の対象者約2900名の解析を行なった。 術前に悪性新生物の既往があったものは6.3%、治療時に担癌状態であったのは2.2%であった。生命予後に関しては、悪性腫瘍を合併している患者の方が当然のことながらより不良であった。しかし、悪性疾患を合併していること自体は、パイパスグラフトもしくは血管内治療部位の一次開存率、MALE+大切断率、心血管死亡に関して有意な影響を与えなかった。AFS(Amputation free survival)は生命予後が不良であることから、悪性腫瘍合併群で有意に低率だった。 また、全死亡、心血管死亡、一次開存率、AFSにおけるカプランマイヤー曲線において、多変量解析を行った。全死亡については年齢、男性、高血圧、脂質異常症、喫煙歴、心不全合併、腎機能障害、肺癌合併が影響を与えていた。心血管死亡は心不全合併、腎機能障害が影響を与えていた。一次開存率は男性、高血圧、脂質異常症、心不全、腎機能障害が影響を与えていた。AFSでは、年齢、男性、高血圧、脂質異常症、喫煙歴、心不全、腎機能障害が影響を与えていた。 現在までの考察としては、悪性腫瘍を合併することで生命予後は影響を受けるが、下肢そのものの予後については大きな影響を受けることはないと考えている。今後、追加データを集めてより詳細な検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
データ抽出は個人情報が漏れないようNCD側の責任で行われており、データ抽出までに時間がかかり、2020年度後半にデータが出揃ってきた。現在も提供されたデータ結果について解析を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
NCDから提供を受けたデータの解析を進め、必要であれば追加データの抽出を行って検討する。結果がまとまったら、学会報告、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度が最終年度の予定であったが、データ抽出に時間を要し、もう少し解析に時間を要することや、追加のデータ抽出、関連バイオマーカーの検体検査を必要とする可能性があったため
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