2019 Fiscal Year Research-status Report
"自己体内再生型"結合組織代用血管バイオチューブの抗感染性に関する基礎研究
Project/Area Number |
18K08754
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡田 健次 信州大学, 医学部, 特任教授 (90284356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 正樹 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (70816131)
中山 泰秀 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50250262)
瀬戸 達一郎 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (70362118)
和田 有子 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (30419410)
五味淵 俊仁 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90597668) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バイオチューブ / 感染実験 / 抗感染性 / 人工血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はバイオチューブに期待される抗感染性を感染実験により実証する事を目的としている。バイオチューブとは非分解性のシリコン等の鋳型を皮下に埋没し生体反応により、鋳型を被包化(カプセル化)する結合組織から得られる管状組織体である。これをバイオチューブグラフトとして血管の移植に用いる。自己組織であるバイオチューブは免疫拒絶反応もなく、鋳型の形状により血管の形状、長さ、直径に至るまで自由に作成可能なオーダーメイド医療である。更に自己組織と癒合し、栄養血管を自ら形成しつつ、個体の成長に伴ってともに成長するという特徴を有する。既存の人工血管は人工物ゆえに抗感染はない。人工物感染はわずかな菌量でも発症し、難治性となることは以前より指摘されている。原因として人工物周囲の死腔の存在や血流の低下、バイオフィルムの形成により、本来備わっている免疫機能を十分に発揮することができず、血管新生もなく抗生剤の到達も困難である。一方バイオチューブは人工物を全く含まず、血管新生をはじめとする組織適合性が高いため抗感染性が期待されていたが、抗感染性を証明する実験は未だ行われていないため研究を進めている。 本年度は ①バイオチューブ作成:SDラット(雄)に対し,全身麻酔下にシリコーン・アクリル製の円筒形鋳型を背部皮下結合組織内の間隙に挿入し,閉創する.2~3ヶ月後に全身麻酔下に鋳型を摘出し性状を評価. ②バイオチューブ移植モデルの確立:採取したバイオチューブはパッチ状に形成し、腹部大動脈を動脈パッチを移植.同様にePTFEグラフトパッチ移植群を作成. ③感染実験:その後グラフト表面に黄色ブドウ球菌菌液(各種濃度)を0.1mL塗布し閉腹し,移植1週間後に全身麻酔下のもと再開腹し,移植したグラフトおよび血液サンプルを採取し菌数の評価を行う. 上記を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はバイオチューブを移植した群と人工血管移植群での比較を行う予定であった.しかし,ラット腹部大動脈は細く移植可能な人工血管が存在せず,血管に人工血管のパッチを当てるようにモデル作製を変更した.また後腹膜に感染を確立させることは可能となったが,移植片がどうしても小さくなってしまい人工血管とバイオチューブの間の菌量に有意差がでない結果となってしまうため実験方法を再検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き安定した後腹膜感染の確立に必要な菌液濃度の解析を行う。また菌量に差が出ない原因として動脈へのパッチに切り替えたため、移植片が小さくなってしまうことが影響している可能性がある。一度移植片を大きくして皮下への移植に切り替えを予定している。血液培養、移植片の菌量測定は行なっているが、組織学的評価は行えておらずHE染色・MT染色・EVG染色にてグラフトの縮窄や瘤化・内腔の血栓付着・内膜面積・平滑筋層厚・新外膜厚の測定・内腔/壁厚比の測定・外膜における新生血管数を比較する。免疫染色としてSMemb /SM2/αSMA染色をおこない内皮化の有無、血管形成の有無、平滑筋細胞の分化および活性化の程度を検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はモデルの作成ならびに感染確立に必要な菌量の調整が主となり、移植後の評価にまでは至らなかった。次年度には今年度予定していた菌量の決定をした上で感染実験を行い、組織学的評価を実施する。その上で次年度に予定している実験も進めていくため、それらの経費に充てる予定である。
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