2019 Fiscal Year Research-status Report
腸管スキャフォールドとコラーゲン結合型成長因子を用いた拍動性グラフトの創成
Project/Area Number |
18K08759
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笠原 真悟 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90233692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00209537)
王 英正 岡山大学, 大学病院, 教授 (50372579)
美間 健彦 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80596437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 再生医療 / 脱細胞 / コラーゲン / アンカリング / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織工学を用いた臓器再生研究の分野で、脱細胞化した心臓に心筋細胞を移植する ことで拍動が得られることが報告された。また、脱細胞化した腸管を組織工学の鋳型として利用できることも報告された。これまでに我々は、細菌性コラゲナーゼのコラーゲン・アンカー部を用いて結合組織やコラーゲン基剤に成長因子をアンカリングすることで、その効果を持続的に発揮させられることを示した。 2019年度は、ラット小腸を腸間膜動静脈を含め脱細胞化して足場とし、心筋細胞の増殖と血管新生を誘導する種々の成長因子をアンカリングしつつ、ラット新生児の心臓由来細胞を播種することで、栄養血管を備えた拍動する心筋の筒を作製しようと考えていた。 まずラット小腸の脱細胞化を試みた。生体から小腸を採取し、動静脈にカニュレーションし、界面活性剤を24から48時間程度還流することにより脱細胞化できることを確認した。続いて、脱細胞化した小腸の細胞外マトリックスを足場として、心筋細胞を生着させようと試みた。従来我々が用いていた解放空間における灌流装置で、脱細胞化小腸にラット新生児心筋細胞を付着させ培養液を還流したが、良好な成育は認められなかった。心筋の破砕の程度、還流流量などを変化させたが、十分な生着といえる成果は得られなかった。そこで、温度、湿度、CO2濃度を管理できるインキュベータ内で培養すべく、小型の還流装置を試作した。しかしながら最適な還流量の確立が困難で、現在足場素材、大きさの再検討、それに対する流量の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脱細胞化心臓に、細胞を生着させる自験例ではある程度の実績を得られていたが、脱細胞化小腸では、還流量や生着させる細胞(組織)の違いのためか十分な成果が得られなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たに試作した灌流装置を用いて、脱細胞化した小腸細胞外マトリックスに心筋細胞を生着させることを第一目標とする。これをコントロールとして、成長因子をアンカリングした際の生着増強効果を確認していく。
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Causes of Carryover |
当該年度に、コラーゲンアンカリングを行う予定であったが、前段階の実験計画の進捗が十分でなかったため、コラーゲンアンカリングの関連実験にかかる費用に充てる予算を中心とした次年度使用額が生じた。
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