2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on glutaraldehyde treatment and anti-calcification treatment of autologous pericardium
Project/Area Number |
18K08768
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
益田 宗孝 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (10190365)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 訓央 横浜市立大学, 医学部, 助教 (00818049)
藪 直人 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (10760316) [Withdrawn]
郷田 素彦 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (30644570)
澁谷 泰介 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (30818050) [Withdrawn]
磯田 晋 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (40254172)
根本 寛子 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (00769333)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 自家心膜 / 弁形成 / 心臓手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓血管外科領域において、臓器の壁欠損部や弁尖などへの補填材料として、患者自身の心膜は最も使用頻度の高いものの一つである。左心系の圧にさらされる部位に用いる際には、その強度を増すために術野において短時間グルタルアルデヒド処理した自己心膜を使用されることが多いが、それにより長期的には組織の石灰化を引き起こす。現在広く使用されている生体弁は、構造的劣化の対策としてグルタルアルデヒド処理を行った後に、各生体弁メーカーが独自の抗石灰化処理法を用いているが、自己心膜のグルタルアルデヒド処理においては現在のところ手術室で可能な確立した短時間抗石灰化処理法はなく、一般的に行われていない。本研究の目的は、術中に施行可能な抗石灰化処理として、高濃度エタノール処理に着目し、短時間抗石灰化処理の確立に挑戦しその最適化を図る。 実験方法を述べる。ウサギを全身麻酔し、胸骨正中切開で自己心膜を採取した。付着している脂肪組織などを除去し、4つの切片に分割し、0.625%グルタルアルデヒドで5分処理した。抗石灰化処理としては98%エタノールを用い、0分、5分、15分、25分の処理をした4つの検体を再度ウサギの腹部皮下に植え込んだ。8週間後に植え込んだ自己心膜の石灰化についてOCPC法によるCa定量的評価を行った。全10匹のうち、途中で死亡したものや、重篤な創部感染などのあったものを除いた5例の結果を示す。グルタールアルデヒド5分処理後に98%エタノールによる抗石灰化処理を次の①-④の処理時間で行った(n=5)。Ca濃度(mg/dL)の平均値は、①0分:3.07mg/dL、②5分:3.66mg/dL、③15分:3.51mg/dL、④25分:4.16mg/dLであった。 以上の結果から、実験プロトコールに従って実験を進めているが、現在のところ実験結果として十分なものが得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実績の概要で示したように一部の慢性動物実験のsacrificeは終了しているが、得られた化学的データには一貫性がなく、実験結果として十分なものが得られていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗石灰化処理によりCa濃度が減少していくことを予想したが、今回得られた結果は、むしろCa濃度は抗石灰化処理を行わなかったものが最も低かった。ウサギ心膜組織がヒト心膜組織と比較して極めて菲薄であることを考慮すると、GAや98%エタノールの処理時間が長すぎることや、溶液の濃度が高すぎた可能性はある。R2年度は、実験動物をラットにし、心膜ではなく胸部大動脈壁を用いる。実験動物数を増やし、様々な条件で検討する方針である。具体的な実験方法を記載する。 ラット(Wistar)より胸部大動脈を摘出し、組織パンチャーで径1cm程度の組織切片を作成する。0.6%グルタルアルデヒド液、pH7.4、常温の状態で3分間の固定時間で処理する。抗石灰化材料としては98%エタノールを使用し、その処理時間は0.5-3分間で設定する。処理後の組織切片を同種他家個体の皮下に移植し、21日後に移植した組織を摘出する。摘出した組織についてOCPC法でCa量を定量する。次に、同様の手順で移植、摘出した組織についてマイクロプレートリーダーを用いてアルデヒド残基量を定量する。高濃度アルコール処理によりアルデヒド残基量を減少させることができれば、(1)の結果と併せて、石灰化とアルデヒド残基量との正の相関関係が示され、急性動物実験によるアルデヒドの定量のみで慢性期の石灰化が予想できることになる。 得られた至適な条件をもって再度慢性動物実験を行い、石灰化について確認実験を行なう。好ましい結果を得られれば、ウサギ(NZW)自己心膜を用いて同様の方法で実験を行い、自己心膜においても同様の結果が得られることを示す。
|
Causes of Carryover |
(理由)実験プロトコールに従って実験を進めているが、結果として十分なものが得られず、学会での発表ができなかったため。 (使用計画)実験動物数を増やして様々な条件で検討する方針のため、実験用消耗品費へ充てる予定。
|