2019 Fiscal Year Research-status Report
Type 1 regulatory T細胞による肺移植後の新規免疫抑制療法
Project/Area Number |
18K08777
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大石 久 東北大学, 大学病院, 助教 (60451580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 安史 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (00455833) [Withdrawn]
野田 雅史 東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
兼平 雅彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90374941) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺移植 / CLAD / CTLA4-Ig / Type 1 regulatory T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、臓器移植後の免疫寛容において重要な役割を果たすとされている制御性T細胞のサブセットの1つであるType 1 regulatory T(Tr1)細胞と肺移植後の慢性移植肺機能不全(chronic lung allograft dysfunction: CLAD)の関連を研究している。CLADは肺移植後の長期予後に最も影響する合併症のひとつで、確立した治療方法がないのが現状である。 われわれは、肺移植レシピエントにおいて、Tr1細胞を誘導することが、CLADの予防や治療につながるのではないかと考えた。ある臨床研究では、関節リウマチの治療として、国内で承認を得たアバタセプト(CTLA4-Ig製剤)の投与は、その患者の末梢血においてIL-10産生LAG-3陽性細胞(Tr1細胞と考えられている)を誘導することが報告されている。我々は計画書に従い、CLADの動物モデルとして確立しているマウス肺内気管移植モデルにおいて、移植後当日、7・14・21日目にCTLA4-Ig製剤の投与を行い、28日目にマウスを犠牲死させて分子生物学的・組織学的評価を行っている。実験は現在進行中だが、CTLA4-Ig製剤の投与は、同モデルにおいて、移植された気管内の線維性閉塞を有意に抑制することが明らかとなった。一方で、Tr1細胞の誘導は有意なものではなく、CTLA4-Ig製剤によるCLADの抑制効果には、そのほかのメカニズムが関わっている可能性があることが示唆され、現在その詳細を研究中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CTLA4-Ig製剤の投与は、CLADの動物モデルにおいて、CLADの抑制効果を有意に示すことが明らかとなった。一方で、そのメカニズムには明らかとなっていないこともあるので、今後のさらなる研究も必要な状況である。以上より、進捗状況はおおむね順調に推移していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス肺内気管移植モデルにおけるCTLA4-Ig製剤のCLADの抑制効果(移植気管内の線維性閉塞抑制効果)が明らかとなったが、そのメカニズムには、不明な点も多い。我々は実験の病理組織をみて、肺内のlymphoid neogenesisがCTLA4-Ig製剤により抑制されていることを発見し、CLADの抑制効果のメカニズムに関わっているのではないかと考えている。Lymphoid neogenesisは、慢性的な炎症の過程でリンパ節などの二次リンパ器官 (secondary lymphoid organs, SLOs) と類似した構造をもつ三次リンパ器官 (tertiary lymphoid organs, TLOs) が形成される現象であり、ヒト肺移植後のCLADでもみられる現象である。本研究で用いているマウス肺内気管移植モデルでも、lymphoid neogenesis関与が近年、他の研究者からも報告されている。われわれはCTLA4-Ig製剤のCLADの抑制効果のメカニズムにlymphoid neogenesis抑制効果が大きく関与していると考え、詳細な免疫組織学的検討や関連するケモカインの検討などを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、当初予定通りの計画を進めていく。来年度分として請求した助成金と合わせて使用することとなる予定である。
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