2018 Fiscal Year Research-status Report
肺大細胞神経内分泌癌の抗癌剤感受性における神経内分泌因子の役割
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18K08782
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 雄悟 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20403256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞庭 謙昌 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50362778)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / 高悪性度神経内分泌癌 / 外科治療 / 小細胞肺癌 / 大細胞神経内分泌肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はまず、樹立されたLCNEC cell lineの細胞増殖について評価を行った。肺腺癌のcell lineであるA549などと比較し、細胞の接着が弱くDishの中で浮遊する細胞も目立った。これまで培養経験のある小細胞肺癌のcell lineとも似ている形態であったため、組織学的な特徴を考慮するとLCNECのcell lineとして疑問はないと考える。また、同cell line内の神経内分泌因子について調べたところ、我々が注目している3つの神経内分泌マーカー(シナプトフィジン、クロモグラニンA、NCAM)全てが陽性であった。このことより、我々のLCNEC cell lineがTP(Triple positive)細胞であることが分かった。 現在、siRNAにてDouble positive;NTP(Non-triple positive) cell (シナプトフィジン陰性) (クロモグラニンA陰性) (NCAM陰性)を作成中である。作成後すぐに癌浸潤における細胞運動・接着との関係を観察するために3D in vitroモデルである2層化コラーゲンゲル半球(Doublelayered Collagen GelHemisphere; DL-CGH)法の準備を進めている。 また、臨床的側面からもLCNECのTP細胞とNTP細胞の新たな違いを探索した。これまで当院で解剖学的肺切除を行った3cm以下のLCNECの35症例についてTP群とNTP群に分類し臨床学的特徴を検討したところ、TP群でリンパ節転移が起こる確率がNTP群と比較し有意に上昇していた。また、この結果は小細胞肺癌とも類似していた。また、無再発生存率についてもTP群と小細胞肺癌症例とは結果がかなり近似していた。このことから、TP細胞は小細胞肺癌に近いLCNECの可能性が高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cell lineが問題なく継代できており、TP細胞であったことから、NTP細胞はsiRNAを用いknock downするという目途が立った。現在、NTP細胞作製中のため、NTP細胞が機能することを確認できれば今後も順調に進むことが予想される。また、DL-CGH法への移行への準備も予定通り進んでいる。また、臨床的な側面からのTP細胞、NTP細胞の違いも新たに発見できたため、今後予定通りいかない際の助けになると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、NTP細胞(少なくともDouble positive)が研究として使える状況に準備を行う。また、その細胞とTP細胞を使用し、細胞増殖能、接着能、浸潤能について評価を行う。浸潤については上述の通り、3D in vitroモデルである2層化コラーゲンゲル半球(Doublelayered Collagen GelHemisphere; DL-CGH)法を用い、リアルタイムに三次元での細胞運動を記録する。 又は、CD-DST法を用いた抗がん剤感受性テストを行う。使用抗がん剤については、高悪性度神経内分泌肺癌に効果が高いとされるプラチナ製剤にトポイソメラーゼ阻害薬、微小管阻害薬について検討する。これについては、上述の小型(3cm以下)神経内分泌肺癌での臨床的結果を踏まえて、小細胞肺癌のcell lineでも評価を行う。TP細胞とNTP細胞のどちらが小細胞肺癌に近いのかという着眼点でも評価を行う。 同時並行でSigle positiveのNTP細胞の作製も行う。siRNAの使用方法を工夫する必要があると思われるため、試行錯誤が必要であると考えるため、まずはDouble positive NTP細胞にて研究を進めていきたいと考えている。 また、本年度の計画が予想よりも順調に進めば、抗癌剤感受性の高かった細胞と低かった細胞を抽出し発現遺伝子を解析し比較する。 臨床的特徴についてもさらに研究を進める予定である。小型LCNEC(3cm以下)と小型小細胞肺癌について予後についても解析を行う。具体的には、全生存率、腫瘍特異的生存率を解析し、多変量解析にて神経内分泌マーカーが予後不良因子になるかについても検討を行う。
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