2018 Fiscal Year Research-status Report
EGFR結合蛋白LRIG1に着目した、EGFR変異陽性肺癌に対する新規治療戦略
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18K08783
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 寛斉 岡山大学, 大学病院, 助教 (40467733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 秀太 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10372111)
豊岡 伸一 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30397880)
枝園 和彦 岡山大学, 大学病院, 助教 (30708079)
宗 淳一 岡山大学, 大学病院, 講師 (90559890)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / EGFR / LRIG1 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、HCC827 (EGFR exon 19欠失)以外のEGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞株を用いて、LRIG1安定発現細胞株を樹立した。具体的には、HCC4011 (EGFR L858R) と、H1975 (EGFR L858RおよびT790M) の細胞株を用いて、LRIG1安定発現細胞株を作成した。また、EGFR遺伝子変異を有しない肺癌細胞株 (A549) も用いて、LRIG1安定発現細胞株を既に作成しており、これらの細胞株を用いてEGFRの発現や細胞増殖について検討を行った。EGFR遺伝子変異を有する肺癌細胞株においては、LRIG1により変異EGFRタンパクおよびリン酸化の発現が抑制し、細胞増殖も抑制されたが、EGFR遺伝子変異を有しない肺癌細胞株においてはEGFR蛋白発現の変化に乏しく、細胞増殖も抑制されなかった。HCC827については、浸潤能・遊走能におけるLRIG1の影響も評価したところ、LRIG1安定発現株では浸潤能・遊走能が抑制されていた。マウスモデルでin vivoでのLRIG1の効果を検討したところ、EGFR遺伝子変異を有するHCC827では腫瘍増殖が抑制されたが、EGFR野生型のA549ではLRIG1による腫瘍増殖抑制効果は認められなかった。また、HCC827を用いて、LRIG1のEGFR以外のレセプターチロシンキナーゼに対する影響を検討したところ、LRIG1安定発現細胞株では、LRIG1によりHER2, HER3, MET, IGF-1Rのリン酸化も抑制されていた。以上の結果を踏まえ、Carcinogenesis誌に研究成果を投稿し、掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の肺癌細胞株(EGFR変異陽性または野生型)を用いてLRIG1安定発現細胞株を作成することに成功し、LRIG1がEGFR変異陽性肺癌細胞株においてEGFR発現を抑制し、細胞増殖を抑制することを、in vitro, in vivoで示すことが出来た。また、得られた研究成果を学術雑誌に投稿し掲載されたので、研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らが樹立しているEGFRチロシンキナーゼ阻害剤耐性肺癌細胞株を用いて同様にLRIG1安定発現細胞株を作成する予定である。また、バイオインフォマティクス解析を用いたLRIG1 の標的シグナル伝達経路・耐性因子の同定も検討している。
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Causes of Carryover |
物品購入において、一部当初の見込みよりも少額で購入出来たものがあったため、19849円の余剰が生じたが、新たに物品を購入出来る金額ではなかったために年度内の使用は不可能であった。次年度に繰り越して物品購入に充当する。
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