2019 Fiscal Year Research-status Report
肺癌遠隔転移における播種性腫瘍細胞由来エクソソームの役割と休眠化維持機構の解明
Project/Area Number |
18K08799
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
嶋田 善久 東京医科大学, 医学部, 講師 (00459497)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 徳彦 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (70246205)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 転移 / 肺癌 / 潜在性播種性細胞 / exosome |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は肺癌細胞株及び患者腫瘍標本を用いた研究を行った。数種類の肺癌細胞株を用いてMTSアッセイ等を行い腫瘍増殖能を調べ、さらにTumor Dormancy関連因子(ERK、p38、uPAR等)発現及びEMTマーカー発現(VIM、E-cad等)を調べた。それらによってTumor Dormancy探索のための細胞株選定を行った。概ね上皮系マーカー高発現細胞株は間葉系マーカー高発現株より細胞増殖が緩徐であり、遊走性・浸潤性においても異なる特徴がみられた。さらに細胞上清より抽出したエクソソームを用いた共培養実験では、間葉系細胞由来エクソソームによって、上皮系マーカー高発現株の間葉系極性変化が促進されることを確認した。Tumor Dormancy 関連因子蛋白発現とEMT発現に強い相関を認めた。本年度は早期肺癌切除標本及び同患者の血清を用いた研究を行った。脈管浸潤(浸潤転移の初期ステップ)の有無及び遠隔再発の有無で4群にわけ、さらに長期経過後再発群をTumor dormancy関連群として以後の検討を進めた。各群の血清由来エクソソームを用いてsmall RNAシーケンスを行い、各々に特徴的なマイクロRNAを抽出した。長期経過後再発かつ脈管浸潤陽性群で既知のTumor Dormancy関連遺伝子であるmiR-23b-3p/miR-190a-5pを含む7遺伝子で有意に高発現であった。播種性腫瘍細胞は転移巣近傍の傍脈管領域等で休眠化することを考慮し、血管内浸潤細胞、血管内皮細胞、遠隔巣周囲傍脈管領域局在細胞をLCM法で採取し、各々の細胞におけるtumor dormancy関連遺伝子発現を解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tumor Dormancy関連遺伝子及び動物実験に使用する細胞株の選定に時間をかけた。本年度予定していた尾静脈投与による肺転移モデルの作成と、摘出肺から潜在性播種性腫瘍細胞株を樹立は来年度に行うこととした。本年度は肺癌患者標本を用いてTumor Dormancyに関連する遺伝子を同定した。
|
Strategy for Future Research Activity |
潜在性播種性腫瘍細胞株を樹立後、同細胞株及びコントロール細胞株由来細胞をさらにマウスに投与し、その転移能について検討する。骨髄・脾・肺を摘出し潜在性播種性腫瘍細胞の臓器局在性をみる。それらより単離した細胞を用いて本年度同定したTumor Dormancy関連遺伝子発現を解析する。またCRISPR-CAS9を用いて高発現肺癌細胞株でKOし、それから休眠機構の変化、前転移ニッチ形成及び転移能獲得機構(浸潤能、遊走能、EMT発現など)についての研究へ展開していく。
|
Causes of Carryover |
本年度と来年度の研究計画を入れ替え、本年度はsmall RNAシーケンスを行った。そのため予定超過の研究費を使用することとなった。
|