2018 Fiscal Year Research-status Report
コレステロール代謝物による肺がん増殖メカニズムと治療に関する研究
Project/Area Number |
18K08800
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
古川 欣也 東京医科大学, 医学部, 教授 (20246292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 彰 東京医科大学, 医学部, 教授 (10468639)
中嶋 英治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60366143)
宮崎 照雄 東京医科大学, 医学部, 講師 (60532687)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺がん細胞 / 27-ヒドロキシコレステロール / エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,乳がんの増殖,進展を促進するコレステロールの代謝物である27-ヒドロキシコレステロール(27HC)が,肺がんにおいても,エストロゲン受容体(ER)のリガンドになって,がん細胞の増殖,進展を促進させるとの仮説を証明するために,1)肺がん切除組織におけるER発現と27HC濃度を検証することと、2)ERが発現している肺がん培養細胞において,エストロゲン、27HC、および抗エストロゲン剤の影響を検証することを計画した。 今年度は,検討1に用いるサンプルとして,肺摘出手術を受ける肺がん患者より同意を得て,病理標本用に採取した肺組織の残余分から,現在まで14症例分のがん部と非がん部の組織の採取,保存を行った。 さらに,検討2において,ヒト肺がん細胞株H23細胞に対し,ERの発現の確認や27HCやエストロゲンに添加による細胞増殖に対する影響について,検討した。その結果,H23細胞において,ERbetaが発現している事を確かめ,27HC(1uM)とエスタジオール(10nM)の添加にて,細胞増殖が有意に高まる事を立証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を構成する(1)ヒトがん組織での検証と(2)培養細胞での検証において,今年度は,(1)では,計画どおりに肺摘出手術患者より肺組織サンプルの採取,保存ができており,また,(2)でも,培養細胞における検討において,順調に成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,ヒト肺がん組織における分析を行い,仮説どおりに,肺がん組織において,27HCが増加している事,また,ERが発現している事を確認する予定である。さらに,進捗に応じ,がん部と非がん部組織におけるオキシステロールや細胞増殖に関与する代謝関連因子の網羅的解析も行う事を計画している。培養細胞においては,27HCやエスタジオールにて高まる細胞増殖が,抗エストロゲン剤により抑制されるかについて検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
肺組織摘出術より得られる肺がん患者の肺組織の採取と保存が,研究初年度であった今年度の下半期から軌道に乗ったため,採取検体の分析は,次年度に行う予定である。そのため,初年度に計画していた研究費の使用を,次年度以降に充てるよう変更した。
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