2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of ketamine on spinal synaptic transmission: electrophysiological analysis
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18K08810
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
古谷 健太 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40535176)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケタミン / 運藤誘発電位 / 脊髄 / 麻酔 |
Outline of Annual Research Achievements |
ケタミンは運動誘発電位(MEP)に影響を与えない薬剤として知られているが、我々はケタミンがMEPの振幅を著明に減少させた症例を経験した。平成30年度は、まずその症例報告を執筆した(Furutani K et al. J Med Case Rep 2018;12:204)。それに加えて、ケタミン(1 mg/kg)の単回投与がMEPの振幅に与える作用について、臨床研究を行った。思春期特発性側弯症に対して後方矯正固定術を予定された12歳から18歳の女性を、無作為に生食群とケタミン群に割り付けた。全身麻酔を導入後、MEP測定の準備を行った。その後、腹臥位とし、前脛骨筋をはじめとした6つの筋(左右計12筋)におけるベースラインMEPを記録した後、割付に従い生食もしくはケタミンを静脈内投与した。その後2分おきに10分後までMEPを記録し、ベースライン振幅からの変化を解析した。 その結果、ケタミンは各筋において、MEPの振幅を有意に減少させた。立ち上がり潜時も若干延長した。 ケタミンは興奮性神経伝達を抑制する薬剤である。ケタミンが脊髄前角ニューロンの興奮性を抑制することにより、MEPの振幅が減少させる可能性はある。前述の通りケタミンはMEPを抑制しない薬剤として知られているので、投与するタイミング、量によっては、術中の神経モニタリングの正確性に悪影響を及ぼし得る。この新たな知見によって、術中神経モニタリングの正確性向上に繋がるものと考えている。 以上の成果を日本麻酔科学会、アメリカ麻酔科学会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究のパートは予定通り終了し、学会発表を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究の成果を論文として投稿する。 同時に脊髄横断スライスを用いた電気生理学実験を計画する。
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Causes of Carryover |
臨床研究パートに時間を割いたため、基礎研究に用いる金額が予想よりも少なかったため。 繰り越し分は消耗品や薬品の購入に充てる。
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