2019 Fiscal Year Research-status Report
exploring perioperative clinical indicators of surgical patients from big database
Project/Area Number |
18K08813
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長瀬 清 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (90345786)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
19年度は、術中管理の安全性を高めるために周術期バイタルサイン変化のアルゴリズム抽出に着手した。周術期バイタルサイン変化のアルゴリズム抽出に着手は新しい研究であるため、まず倫理審査委員会の承認を得た。この研究は、手術医療の質向上、効率化・標準化の推進、医療安全、医療の透明性確保の推進における新技術の活用に関する疫学研究として、この審査と承認に数ヶ月を要した。周術期バイタルサイン変化のアルゴリズム抽出では、まず過去15年分の術中生体監視情報を抽出しこれをDWHに保存した。このDWHから得られる知見の目的を医療の質向上と医療安全にしぼり、その視点から求められる成果の抽出方法を検討した。実臨床への応用が可能であること、今後の発展性があること、働き方改革など職場環境の変化に役立つこと、特定看護師制度など新しい仕組みに貢献すること、多職種協働という視点で活用されることを新たに研究の成果に設定した。 実際の研究の手法と目的は、成果の発表まで秘匿事項であるが、過去の膨大なデータからどの病院の手術室でも活用できる汎用性が高く、水平展開がしやすい新しいシステムの構築を目指し、その核心となるアルゴリズムの構築を開始した。また解析の結果で得られたアルゴリズムを活用することで、実際の臨床支援として役立つかどうかという点の実証作業への準備や、解析内容の追加や修正などが現在進行中である。 なお2020年度開始からしばらくの間は、この研究の進捗よりも新型感染症対策に注力するため、研究の進捗に影響が出る可能性がある。しかし新型感染症への注力は何よりも重要であるので、これを優先する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況を述べる。現在までに、3つの視点で課題に取り組んでいる。 1つ目は初年度から取り組む周術期医療ビッグデータの活用による医療の質の可視化と評価への試みを継続しているが、データベースの整備も完了し、主なテーマに関する研究準備や環境整備はおおよそメドがついている。また現在は、当初の計画で予定した解析は完了しているが、さらに医療ビッグデータの活用による医療の質評価と可視化への試みとして、今後もマイニング作業を実施する作業時間が得られれば、新たな切り口で医療の質を可視化する指標の抽出を行いたいと考えている。これらの成果は、次期医療情報システム更新に向けた改訂作業の根拠に役立てるため、その限界や課題の抽出にも取り組んでいる。今後のスマートホスピタルの実現に向けて、これらの作業が役立つと考えている。 2つ目に、上記研究実績の概要で述べた手術医療の質向上、効率化・標準化の推進、医療安全、医療の透明性確保の推進における新技術の活用に関する疫学研究に着手し、新たなアルゴリズム抽出に取り組んでいる。現在、実証作業中である。 3番目として、診療過程から医療全体を俯瞰できるアルゴリズムが様々な医療安全や一連の診療経過に対して診療支援として効率化や質向上に寄与できないか、さらに医療安全の視点から患者安全を担保できる仕組みが導入出来ないかを検討する予定である。この研究は当初の研究計画になかったが、新たな研究手法の導入が可能になれば、今後の医療情報システムに反映させることで大いに活用できるため、並列して進めたいと考えている。 学術的な実績としては、まず学会発表を予定していたが、様々な発表機会が新型コロナ感染症のために中止になっており、改めてその機会を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究課題に対して、今後の研究の推進方策として現在の課題と見通しについて述べる。 周術期ビッグデータを対象とした課題は、おおまかに進捗している研究であるが、細部にまで焦点を絞ると課題は様々な残存している。やはり医療の質としての評価価値が高い第5バイタルサインと言われる疼痛スコアの標準化を最優先に目指したい。この課題はまだ未解決である。すべての病棟における疼痛スコアの標準化が求められるが、この標準化作業が進捗していない。クリニカルパスの改定を通じて、その疼痛評価方法を広く標準化する方策を検討したいが工程が多く、また業務手順の追加も求められるため、この作業が遅延している。研究も含めた可視化への手順の進め方は、手順書のすり合わせなどまとまった時間の確保、および周知する方法など導入方法の検討が必要であるため、現在は疼痛情報の一元管理による可視化への到達はまだ見通せていない。 この他には、定期的なデータ解析により経時的な変化を明らかにし比較により課題を明確化する必要がある。解析はすでに一度終了しているが、すでに時間が経過しており、これを反復するなど再度行うと望ましいと考えているが、単純作業でありながら膨大な手間と時間がかかるため、この時間を確保することも求められる。 現在は、データベースの構築と、分析方法の妥当性の検証、得られた結果の信頼性の担保までは確保できたと考えている。ここまでの結果は他施設ではなかなか検証できない成果だと考えているが、さらに実際の臨床にフィードバックし活用するとなると、単純に作業時間の確保が課題になる。 研究成果の発表、今後の医療情報システムへの成果の反映、臨床業務への反映など様々なアウトカムに対して、順次作業を行う予定である。
|