2018 Fiscal Year Research-status Report
慢性疼痛時における脳内脂肪酸受容体 GPR40/FFAR1 シグナル機構の解明
Project/Area Number |
18K08836
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
中本 賀寿夫 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30432636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳山 尚吾 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (70225358)
糟谷 史代 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80131522)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疼痛 / 脂肪酸 / GPR40 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、疼痛モデルマウスを用いて疼痛制御機構における脳内の脂肪酸関連因子の関与について検討を行った。脳内の脂肪酸調節因子として、脂肪酸をリン脂質から切り出す酵素の calcium-independent phospholipase A2(iPLA2),cytosolic PLA2 (cPLA2) や脳内における脂肪酸の輸送、代謝、情報伝達に関与する fatty acid binding protein 3,5,7 (FABP3,5,7) を用いた。 術後痛モデルマウスでは、機械的刺激に対して過敏反応を示した術後2日目の視床下部領域において、コントロール群と比較して、iPLA2 mRNA, や FABP3 mRNA 発現は有意に増加した。しかしながら、FABP7 mRNA 発現は、上記と同条件下の術後痛モデルマウスで有意に低下した。これらの変動は、過敏反応が減弱する 4 日目において、iPLA2 mRNA は 2 日目のそれに比較して低下し、FABP3 mRNA や FABP7 mRNAはコントロール群レベルまで回復した。なお、cPLA2 mRNA や FABP5 mRNA は、術後痛モデルマウスにおいて何らの変化も示さなかった。さらに、CFA 投与 1 日後の痛覚過敏を示したマウスの視床下部領域で iPLA2 mRNA や FABP3 mRNA はコントロール群に比較して、有意に増加した。 以上、疼痛モデルマウスの視床下部領域において、疼痛シグナルに応答して iPLA2 mRNA や FABP3, 7 mRNA の発現が変動したことから、疼痛時の脳内脂肪酸の作用発現においてこれらの因子が関与することが示唆されたる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
1 慢性疼痛および慢性ストレスモデルマウスにおけるリピドミクス解析 慢性疼痛および慢性ストレスモデルマウスを作製し、各種遊離脂肪酸含量変化を LC-MS/MS 法を用いて解析する。慢性疼痛モデルには、神経障害性疼痛及び術後痛モデルを、慢性ストレスモデルには、幼少期ストレスおよび社会敗北ストレスモデルマウスを作製する。
2 グリア細胞由来遊離脂肪酸ーGPR40/FFAR1 シグナルを介した疼痛制御機序の解明 神経細胞およびアストロサイトの共培養系を作製し、アストロサイト由来の脂肪酸が神経細胞上の GPR40/FFAR1 に作用し、その後どのようなシグナルを介して痛みを抑制するかの検討を行う。さらに、GPR40/FFAR1 の下流シグナルについて検討を行うため、各種脂肪酸を添加させた後の細胞シグナルについても検討を行う。さらにビブラトームを用いて、冠状脳スライス切片を作製し、スライス切片培養下でも同様の検討を行う。
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