2019 Fiscal Year Research-status Report
CBB法を用いたイオンチャネルに対する麻酔薬の作用機序の解明
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18K08850
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松木 悠佳 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10464083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
液滴接触二重膜法(Contact Babble Bilayer法;CBB法)を用いて、KcsAチャネルの電流記録を行いつつ、そこにセボフルランを投与し、チャネルへの影響を検討した。通常、CBB法ではヘキサデカン内に脂質(アゾレクチン2mg/ml)とチャネルを混合した200mM KCL電解質溶液(一方の水滴はpH7.5,反対の水滴はpH4.0)をピペットから吹き出し、モノレイヤーを作成し、二つのバブルを貼り合わせることで脂質二重膜を作成する。KcsAチャネルは酸性で開口するため、バブルの液を酸性と中性で貼り合わせれば開口するチャネルの向きを一方向にそろえることが可能となる。その状態でチャネル電流記録を行った。はじめての試みであるため、セボフルランの吹きかけではなく、あらかじめ濃度調整したセボフルランを水滴を膨らませるヘキサデカンオイルに混入させて実験を行った。次に、オイル相からセボフルランを吹きかけて、チャネルへの影響を検討した。濃度依存的にチャネルを閉じさせる傾向であった。セボフルランは揮発性であるため、吹きかけのピペットから揮発するのを防ぐため、ピペットに充満させたセボフルラン入ヘキサデカンの上をnanopure水で覆った。濃度は0.3mM, 0.4mM, 0.5mM, 1mM, 2mMで行った。セボフルランの濃度が高いと、脂質二重膜が割れることが多かったが、KcsA_E71Aチャネルに対しては、チャネルを閉じさせる傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
去年度の目標である、「1.イオンチャネル機能計測方法の確立と麻酔薬の濃度依存性効果の評価」の、「イオンチャネル機能計測方法の確立」と「麻酔薬の濃度依存性効果の評価」についてはほぼ終了しているが、今年度目標である「2.イオンチャネルに対する麻酔薬の作用点の検討」については検討をはじめたところであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「イオンチャネルに対する麻酔薬の作用点の検討」と「麻酔薬の脂質への効果の検討」について取り組みたい。脂質二重膜に麻酔薬を投与し、膜への張力や膜の厚さの変化を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
既存の試薬を使用したため消耗品の使用額が少なかった。次年度に繰り越して、CBB法で必要な試薬やガラスピペットを購入する予定である。
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