2018 Fiscal Year Research-status Report
Effects of neonatal pain on developing neuronal networks
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18K08854
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野村 有紀 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60643955)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疼痛 / 行動異常 / 新生児 |
Outline of Annual Research Achievements |
生後5日齢の雌雄新生児ラットに対して完全フロイントアジュバントを足底へ注入し、炎症性疼痛モデルを作製した。その後の発育過程における各タイムポイント(疼痛刺激直後:日齢8-10、若年期:日齢20-21、成熟期:日齢42-46)で、全身麻酔下に還流固定、脳および脊髄組織を採取し、凍結切片の作製を行った。神経活動マーカーであるc-Fosおよび神経細胞マーカー(NeuN)、ミクログリアマーカー(Iba1)に対する特異抗体を用いた免疫組織化学により神経活動およびグリア活動の変化を各脳部位について行い、現在進行中である。現在までに冠状断切片を用いた脳各部位の発現解析を行った。疼痛処置後早期(日齢8-10)には、一部の脳領域で炎症性疼痛モデルにおいてミクログリアマーカーの発現増加を認めたが、その後は明らかな差は認めなかった。現在、c-fos、NeuN抗体を用いて脳各部位における発現の違いを検討中である。 神経活動マーカーおよびグリアマーカーによる免疫組織化学的解析を用いた神経マッピングと並行して、ポピュレーション解析のためのグリア細胞分離および初代培養系の確立を検討してきた。パーコールおよびフローサイトメトリー法を組み合わせた手法により、各種グリア細胞の分離および初代培養を行っている。現在は炎症性疼痛群およびコントロール群の成熟脳から得られた分離ミクログリアにおける炎症性サイトカイン、ケモカイン関連因子の発現比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた神経マッピングについて、解析条件の検討および解析脳領域部位の絞り込みに予想以上の時間を要したが、現在c-fosおよびグリアマーカーによる免疫組織化学的検討を行っている。また特定脳領域のポピュレーション解析については、対象とする脳部位が特定できていなかったため開始が遅れた。これまでに成熟脳からのミクログリア細胞分離および初代培養方法の検討を行い、次の解析ステップに進む準備は出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに着目してきた脳主要部位(前頭前皮質、体性感覚野、海馬)について免疫組織化学的解析を優先的に行い、神経マッピングを遂行する予定である。当初は神経マッピングで変化を認めた領域におけるポピュレーション解析を予定していたが、まずは脳および脊髄全体のポピュレーション解析を行う。そして、実験効率を考慮し、MACSを用いた各種細胞分離ではなく、Percollおよびフローサイトメトリー法を用いたグリア細胞(アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイト)の分離採取を行い、それぞれにおける疼痛群およびコントロール群での発現比較解析を行うこととする。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究計画における解析条件検討に予想以上の時間を要し、条件確立が遅延したため、予定の試薬および物品購入が遅れた。現在、研究計画とは別のより効率的な解析方法を現在試みており、予定の試薬を変更して、別の関連試薬を購入している。今後は本研究目的を達成するために、より効率的な解析方法を遂行する予定である。
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