2018 Fiscal Year Research-status Report
肺移植術後の気道過敏性亢進に関与する非翻訳RNAとその標的分子種の同定
Project/Area Number |
18K08864
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
花崎 元彦 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60379790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 教授 (00287848)
倉橋 清泰 国際医療福祉大学, 医学部, 主任教授 (50234539)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 虚血再潅流傷害 / 肺移植 / 麻酔薬 / マイクロRNA / RhoA/Rho-kinase / 非翻訳RNA / 標的分子種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では令和2年度までに、肺虚血再潅流傷害モデルラットに認められる気管支平滑筋過敏性発現におけるRhoA-ROCK系の関与を証明するとともに、その発現制御についてmicroRNAあるいはlong non-coding RNA (lncRNA)レベルまで検討を行い、RhoA-ROCK系が亢進するメカニズムを明らかにすること、さらに気管支平滑筋過敏性発現に対するROCK阻害薬前処置の効果について検討を行い、肺移植術後の呼吸管理におけるROCK阻害薬の有用性について予測することを目標としている。 初年度である平成30年度はラット肺虚血再潅流モデルの作成および各種サンプルの調製を行った。代表者・花崎がこれまで川崎医大で行っていたものと同じ研究環境、プロトコルのもと遂行し、再現性を確認することを目的とした。 まずは手技確認のための実験を行い、その後に実際のプロトコル作成に移行した。Wistar雄性ラットをペントバルビタールで麻酔、気管切開、人工呼吸のもと開胸し左肺門部をクランプして30分間の虚血(I)状態とし、後にクランプ開放により再潅流(R)とした。再潅流時間は30分から3時間まで、条件を変化させながら肺および他臓器の状態をチェックした。採取した左肺よりタンパク質サンプルあるいはtotal RNAサンプル調製用として、最適条件にて保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調だが、下記に述べる通り、若干の遅れを生じている。
研究代表者である花崎が国際医療福祉大学に転出したため、研究の拠点も川崎医科大学から国際医療福祉大学に移し、新たな研究環境の構築を行いながらの研究開始となった。 Wistarラットを全身麻酔、気管切開、人工呼吸下に開胸し、左肺門部をクランプおよび開放することによって肺虚血再潅流モデルを作製するが、新たな研究環境において川崎医科大学当時と同条件で行えるか、各種セッティングの調整に多少の時間を要した。 なお肺虚血再潅流モデル作製の技術そのものは確立されているため、研究環境構築した後はスムーズに行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き肺虚血再潅流モデルラットから肺のサンプルを採取し、凍結保存またはRNA later中で保存する。 一定数のサンプルを確保した後にWestern blot法、リアルタイムPCR法などを行う。同時に再潅流時間を30分~3時間と変化させていく中で、もっともサンプルの状態がよく、かつラットの全身状態(とくに循環動態、酸素化能)が保たれる時間を決定する。 その後マイクロアレイ解析などにより肺虚血再潅流傷害による気道過敏性亢進に関与する遺伝子を同定する。 さらに、より詳細なメカニズム解明を目的に、培養細胞を用いたin vitroモデルの構築についても順次進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
概ね順調に進んだが、研究代表者である花崎が川崎医科大学より国際医療福祉大学に転出し、研究の拠点を移すこととなった。これに伴い、川崎医科大学でおこなっていた研究と同じ環境を得るための各種調整および実験手技の確認作業を優先した。このため本年度に予定していた実験に必要な経費の使用開始時期が少し遅くなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 肺虚血再潅流傷害モデルから得られた標本を用い、ウェスタンブロットやリアルタイムPCRなど生化学的解析を続けるため消耗品(試薬、抗体)に用いる。
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Research Products
(10 results)