2021 Fiscal Year Annual Research Report
Breath by breath exhaled propofol monitoring for clinical practice
Project/Area Number |
18K08867
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
増井 健一 横浜市立大学, 医学研究科, 特任准教授 (20303430)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 呼気プロポフォール濃度 / ブレスバイブレスモニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が開発したブレスバイブレス呼気プロポフォール濃度モニタは0.2秒毎にプロポフォール濃度を測定し、呼気中のプロポフォール濃度を詳細に測定可能である。このモニタを用いて、プロポフォールによる全身麻酔を行ったプリングル手技(肝臓に流入する血管を遮断し、肝臓切除中の出血量を抑制する手技)を行う肝切除術の症例においてプロポフォール血中濃度変化を呼気濃度モニタリングが鋭敏に捉えるかを検証した。プロポフォール血中濃度は、肝血流遮断により大きく増減することが確認され、その変化はブレスバイブレス呼気プロポフォール濃度モニタによりモニタリング可能であることが確認された。 これまで10年以上にわたり呼気プロポフォール濃度モニタに関する研究がさまざまな研究グループで行われてきたが、全ての研究は臨床専用ではない一般的な質量分析計を用いて行われていた。本研究は、臨床使用のために開発した機器で呼気モニタリングがプロポフォール麻酔中のプロポフォール濃度モニタリングとして有用であることを検証、確認した初めての研究である。 プロポフォールによる全身麻酔には、全身麻酔覚醒時の喉頭痙攣を抑制する、覚醒時興奮(気管・声帯の損傷やチューブの事故抜管の原因になる)を抑制する、術後の悪心嘔吐を抑制するなど複数のメリットがある。しかし、プロポフォール麻酔では吸入麻酔では当然である持続濃度モニタリングができず、代わりに予測濃度がモニタリングされている。プロポフォール効果は個人差が大きいため術中覚醒のリスクが相対的に高い。これらの背景から、プロポフォールが必要以上に高濃度で投与されることがあり、稀にプロポフォール注入症候群という重篤な合併症を起こすことがある。今回の臨床での有用性が示された呼気プロポフォール濃度モニタリングが広く臨床使用されるようになれば、プロポフォール麻酔の利点を安全に生かせるようになる。
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