2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K08870
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
石川 真士 日本医科大学, 医学部, 講師 (30714745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 篤裕 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (30196084)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | microRNA / 麻酔薬 / 臓器保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA(miRNA)はmessenger RNAの翻訳制御など遺伝子発現を調整する機能を有する。これまで全身麻酔の種類によってmiRNAがどのように発現し、各重要臓器においてどのような影響を与えるのか包括的に測定、比較してきた。本研究では、臓器障害時や癌においてどの麻酔薬が有利・不利かと分子生物学的に検討している。 本年度では腎虚血再灌流障害(IRI)における麻酔薬の保護作用におけるmiRNAを介した機序について検討した。周術期においてIRIは重大な問題である。腎部分切除術や腎移植術では腎動静脈の虚血再灌流操作を伴う。また、心臓外科手術での人工心肺使用下心停止も腎臓の生理的還流を中断する。吸入麻酔薬はIRIを減弱する麻酔薬プレコンディショニング(APC)効果が報告されている。本研究ではこの機序にmicroRNAが関与していると推測した。 ラット腎虚血再灌流モデルに対しセボフルランを投与したところ、腎障害の軽減が確認された。遺伝学的な検討ではセボフルラン投与によりmiR-17とmiR-27aの発現が優位に変化した。これらmiRNAはPI3K/Akt pathwayを制御することが知られおり、Westernblot法にてセボフルランによるタンパク発現変化を確認した。その結果、IRIにおいてセボフルランはPTENを減少させ、pAktを増加することが確認できた。 以上より、セボフルランはmiR-17とmiR-27aを介してIRIにおける腎保護効果を示すと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究テーマは、麻酔薬によるmicroRNAを介した腎保護効果の検討である。 前述の通り、腎保護効果のカギとなるmiRNAを発見し、そのdownpathwayであるタンパクの発現変化も明らかにした。 上記結果は計画の通りであり、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は癌細胞におけるmicroRNAを介した麻酔薬の効果を検討する。 まず、in vitroにて麻酔薬が癌に対し促進、あるいは抑制効果があるのか、その機序について検討する。さらに、その癌腫をラットへ移植しin vivoでの作用について研究する予定である。
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