2018 Fiscal Year Research-status Report
補体活性化制御によるSTEC-HUSの治療を目指した基盤研究
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18K08871
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾崎 将之 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50389459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田北 無門 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60814613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 志賀毒素 / 溶血性尿毒症性症候群 / STEC-HUS / 尿細管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管出血性大腸菌感染に伴う溶血性尿毒症性症候群(STEC-HUS)は集中治療を要する重篤な疾患であるが現在のところ治療法は対症的なものが主である。急性期を離脱後も10-20%は慢性腎機能障害に移行すると報告されている。 本年度はSTEC-HUSのマウスモデルの作成を行った。マウスモデルは野生型マウスに志賀毒素を腹腔内投与することにより作成した。尿中クレアチニン濃度と尿中シスタチンC濃度を測定し、志賀毒素を投与されたマウスにおいて尿中cystatin-C to creatinine ratioの悪化が認められた。モデルマウスにおける尿細管機能の低下が示唆された。 また、腎組織を採取し、腎臓のHE染色、PAS染色と抗CD10抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、志賀毒素投与群とコントロール群で比較を行った。その結果Stx群マウスの腎ではHE染色で近位尿細管の脱落を認めた。PAS染色で遠位尿細管直部にPAS陽性硝子円柱が認められた。抗CD10抗体を用いた免疫組織化学染色ではCD10陰性である遠位尿細管に円柱を認めた。コントロール群マウスの腎ではこれらの所見を認めなかった。これらの所見は本マウスモデルにおける再吸収能低下に合致する所見である。 本モデルにおける飲水量の変化を調べたところSTEC-HUSモデルでは尿量の増加とともに飲水量が増加し、慢性期になってもコントロール群に比し飲水量が多いことが判明した。 次年度以降に補体分子の免疫染色や補体分子に対する抗体を投与しその効果を検証する予定である。またモデルマウスの血圧の推移も測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動に伴い一時的に研究が滞った。当初行う予定であった腎機能障害に対する抗補体分子抗体投与の効果が検証できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本疾患モデルにおける補体分子の血清中での濃度変化や腎での沈着をそれぞれELISAや免疫染色等で明らかにしていく方針である。また抗C5抗体などの交代を用いて腎機能障害が低減できるかについて検証を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は研究代表者の異動に伴い新たに実験計画書等の承認を得る必要が生じ、一時的に研究の推進が遅延し支出が予定を下回った。そのため次年度使用額が生じている。
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Research Products
(1 results)