2022 Fiscal Year Research-status Report
補体活性化制御によるSTEC-HUSの治療を目指した基盤研究
Project/Area Number |
18K08871
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
尾崎 将之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50389459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田北 無門 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (60814613) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 溶血性尿毒症症候群 / 補体活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管出血性大腸菌O157に代表される志賀毒素産生大腸菌(STEC)による食中毒は流行が繰り返されている。溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)はこの食中毒の重篤な合併症であり、腎臓に微小血栓が形成され腎機能障害、溶結性貧血、血小板減少を呈する。この疾患の病態において補体系の活性化が関与している可能性が推定されている。補体系はオプソニン効果や膜障害複合体形成だけでなくその活性化により凝固活性化、血小板凝集を招くことが知られている。本研究では動物モデルを用いてSTEC-HUSの腎臓の微小血管における補体活性化を確認し、補体活性制御による治療効果を実証することを目的としている。 補体分子MBL2をコードする遺伝子をノックインしたマウスに志賀毒素を腹腔内投与し腎機能障害、貧血、血小板減少を呈するSTEC-HUSのモデルを作成した。このモデルにさらにMBL2を阻害する抗体を投与したモデルを作成した。これまでに抗フィブリン抗体を用いてこれらのモデルにおけるフィブリンの沈着を免疫染色で比較し、抗MBL2抗体の投与により腎におけるフィブリンの沈着が減少することを報告している。 2022年度は抗インテグリン抗体を用いた免疫染色によりこれらのモデルにおける血小板沈着の状態を比較した。その結果抗MBL2を投与したモデルにおいて腎糸球体における血小板の沈着が有意に減少していることが確認された。本結果からSTEC-HUSモデルにおけるMBL2の阻害は腎における血小板沈着を軽減することが示された。レクチン経路の阻害は溶血性尿毒症症候群における微小血栓形成を抑制する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症流行の影響により当初の計画に比し進捗が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた多光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングは志賀毒素の毒性への危惧から使用が困難となった。代替として共焦点顕微鏡を用いて腎病理の評価を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行の影響により進捗に遅れが生じその結果次年度使用額が生じた。感染流行の終息後は計画通り研究を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)