2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of the mechanisms of Nav1.9 inhibition aimed at development of selective Nav1.9 inhibitor for chronic pain
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18K08876
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
堀下 貴文 産業医科大学, 医学部, 准教授 (40369070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 電位依存性ナトリウムチャネル / Nav1.9 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性疼痛や神経障害性疼痛を成因とする慢性疼痛は治療困難な例が多く、有効な鎮痛薬を開発すべく慢性疼痛の病態について研究が進められてきたが、その複雑な病態のため、難治症例に対する有効な鎮痛薬は未だ存在しない。電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)サブユニット、Nav1.9も慢性疼痛発生機序に重要な役割を持つことが示されているが、これに対する選択的阻害薬は未だ開発されていない。そこで、慢性疼痛に対する新たな鎮痛薬としての選択的Nav1.9阻害薬開発への貢献を目指し、Nav1.9の抑制機序に関する分子レベルでの解明を計画した。①電気生理学的手法(アフリカツメガエル卵母細胞発現系)を用いたNav1.9に対する鎮痛薬の影響解析、②電気生理学的手法と分子生物学的手法を用いた遺伝子変異型Nav1.9に対する影響解析と、Nav1.9のみを選択的に阻害するために重要な部位の同定、③Nav1.9遺伝子変異マウスと慢性疼痛モデルマウスによる鎮痛効果の解析、である。 申請者はこれまでに、アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いて神経系に発現する多くのNav αサブユニットの機能解析や薬物の作用解析を行ってきた。しかしながら、昨年に引き続き、Nav1.9の発現が困難であり、今年度も鎮痛薬の影響を解析するために十分な発現を得ることができなかった。そこで、Nav1.9の実験と平行して、その他のαサブユニットを用いた実験を行い、様々な生理作用を持つ漢方薬の一つ、蓮の幼芽の成分であるベンジルイソキノリンアルカロイド、ネフェリンのNav αサブユニットに対する影響を電気生理学的に調べた。その結果、ネフェリンが神経系に発現するNav1.2、Nav1.3、Nav1.6、Nav1.7、Nav1.8機能を抑制することを発見した。また、今後も引き続きNav1.9に関する実験も進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nav1.9の発現は全てのαサブユニットの中で最も困難であり、今年度も鎮痛薬の影響を解析するために十分な発現を得ることができなかった。十分な発現を得るための特殊な条件が必要なことが想定されるが、これを習得できていないことが原因と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、電気生理学的実験によって、Nav1.9に対する鎮痛薬の影響を解析するために十分な発現を得ることができなかったため、過去の文献などを参考に、十分な発現を得るための条件(培養日数、RNAの注入量など)を模索して、試みていく。さらに、困難な状況が続けば、今年度同様に、その他のαサブユニットに対する薬物の影響解析を行い、電位依存性ナトリウムチャネルをターゲットにした新たな鎮痛薬開発につながるような研究を平行して行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 計画的に執行を進めた結果、未使用額が42,970円生じたが、購入を予定していた物品に必要な金額に満たなかったため。 (使用計画) 次年度の研究費と合わせて試薬や消耗品の購入に使用する予定である。
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