2019 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮バリア機能制御におけるIFNβ-1aシグナルと低酸素応答系のクロストーク
Project/Area Number |
18K08877
|
Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
足立 健彦 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第9研究部, 部長 (90252428)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 喜一 関西医科大学, 医学部, 教授 (00283606)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 急性呼吸窮迫症候群 / interferonβ-1a / 細胞間バリア機能 / CD73 / 低酸素誘導性因子 / CD39 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群の治療薬候補として本邦でも臨床治験が行われている。Interferonβ-1a(INFβ-1a)の細胞間バリア機能への影響をINFβ-1aシグナル伝達,肺内酸素分圧・サイトカイン環境と関連付けた転写因子hypoxia-inducible factor 1(HIF-1)活性化とのクロストークの観点で解明することが本研究の目的である。この目的の達成のため血管内皮初代培養細胞,肺胞上皮・腸管上皮由来細胞株を用いて細胞外ドメインがEcto-5'-nucleotidaseを持つCD73分子の発現とそれに依存した細胞間バリア機能維持のメカニズムを細胞生物学・分子生物学・バイオインフォマティクスを統合した手法で解明することが研究の目的であった。 今年度は昨年度の成果を受けて以下の研究成果を得たので報告する。 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト肺微小血管内皮細胞(HPMEC)を用いて血管内皮バリアの形成とバリア機能のアッセイ系の構築に成功した。このモデルバリアを用いてLPSがバリア機能を阻害すること、その阻害がINFβ-1aにより軽減されるという実験結果を得た。さらにバリア機能の形成、維持に重要な役割を果たすタイトジャンクションを構成するZO-1, Claudin5, Occuludin, VE-cadherinのmRNA、蛋白質発現を調べたところこれらの誘導が観察された。さらにこれらの分子がINFβ-1aにより細胞質から細胞膜へのトランスロケーションが観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血管内皮バリアの形成とバリア機能のアッセイ系の構築に成功しこれを用いてINFβ-1aのバリア機能増強効果が確認できたため。 さらにタイトジャンクション構成分子の動態を探る実験系の構築に成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに研究を進めて内皮に加えて肺胞上皮への影響を検討する。
|
Causes of Carryover |
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)、ヒト肺微小血管内皮細胞(HPMEC)を用いたモデルバリアによる実験が予想外に順調に進んだため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせて肺胞上皮への影響を検討する費用として使用する。
|