2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者くも膜下出血の超急性期病態と認知機能に着目した神経集中治療法の開発
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18K08880
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 達士 東北大学, 加齢医学研究所, 准教授 (80462472)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | くも膜下出血 / 高齢者 / 脳循環動態 / 心肺合併症 |
Outline of Annual Research Achievements |
くも膜下出血 (Subarachnoid Hemorrhage; SAH)は、脳卒中における突然死の最大の原因として知られている。近年の高齢化にともないSAHの発症年齢も上昇しつつあるが、高齢者では根治治療の適応となっても併存症や予備能の点から周術期管理に難渋する場合も多く、その予後は極めて不良である。これらの問題を解決するためには、高齢者の脳の脆弱性を視野に入れた循環動態の把握とそれに対する有効な神経集中治療法の確立が求められる。 本研究では、高齢者および認知症に関する動物モデルを用いて、SAH直後の脳循環動態・酸素代謝の無侵襲リアルタイムイメージングを導入し、老化脳の可塑性・脆弱性を踏まえた超急性期SAHの病態解明に迫る。次にDCIと機能予後の規定因子となり得る、SAH後のEBIに起因した簡便なバイオマーカーを検索するとともに、発症前および周術期の脳保護効果をもたらす薬物療法につき検証する。研究は、SAH動物モデルを用いて、SAH直後の脳循環動態・酸素代謝の無侵襲リアルタイムイメージングを導入し、老化脳の可塑性・脆弱性を踏まえた超急性期SAHの病態解明に迫る。 当該年度は、SAH超急性期の脳循環動態の分析を目的とした、小動物用高解像度超音波エコーと光音響共鳴画像によるリアルタイムモニタリングの実験条件の設定と安定したデータ採取に専念した。研究では、促進老化・短寿命を特徴とする老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse Prone 10;SAMマウス)を使用予定とし、その予備段階として通常発達マウスを用いた実験条件の設定を行った。SAHモデルは既に確立している方法である、血管内穿通法(Endovascular perforation model)を用いた。 本年度は脳循環動態について安定した撮像の確立を目指すとともに、心機能や肺水腫を同時収集するプロトロールを設定した。老化促進マウスの調達と実験場所の確保に難渋しており、本年度は通常マウスでの撮像を主体に実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
通常マウスによる生体イメージングの確立を継続している。本年度は脳循環動態について安定した撮像の確立を目指すとともに、心機能や肺水腫を同時収集するプロトロールを設定した。老化促進マウスの調達と実験場所の確保に難渋しており、本年度は通常マウスでの撮像を主体に実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、老化促進マウスを用いて、まず本年度と同様の検討を行う予定としている。研究推進の方法として、1) SAH直後の全脳の循環動態を光音響脳イメージング法による無侵襲リアルタイムモニタリングから解析するとともに、2)予後規定因子である遅発性脳虚血、運動・認知機能低下の誘因となる画像バイオマーカーを検索し、3)脳保護効果をもたらす治療法につき、順次検証する方向で進めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の問題で、研究成果発表のための国内外の学会参加、研究遂行のための出張や動物の購入が滞ってしまったため。
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