2019 Fiscal Year Research-status Report
腸間膜リンパ液中のエクソソームに対する迷走神経電気的刺激による抗炎症作用の解明
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18K08882
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
森下 幸治 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (40456207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植野 彰規 東京電機大学, 工学部, 教授 (20318158)
小林 哲幸 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50178323)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / 腸間膜リンパ液 / 出血性ショック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、出血性ショックに続発する多臓器障害に関する新たなメカニズムと治療法を解明するため、多臓器障害の発現に関係する「炎症における腸間膜リンパ液とエクソソームの役割」と「治療法としての迷走刺激の可能性」に注目して研究している。そこでラットの出血性ショック後の腸間膜リンパ液中のエクソソームとエクソソーム画分における炎症惹起性脂質メディエータの解析および頸部迷走神経の電気刺激によるその抑制効果を研究している。 1.ラットの腸管虚血再灌流障害モデルにおいて腸間膜からドレナージされたリンパ液中からエクソソーム画分を抽出し、質量分析にて脂質のメディエータの変化を解析したことろ、侵襲に特異的な脂質を同定することに成功した。この脂質は生物活性を有するため、腸管虚血再灌流障害における脂質のメディーターであると考えられた。この成果は現在論文に投稿中である。 2.迷走神経刺激によるエクソソーム画分の変化を調べる前に、出血ショックモデルにおける頸部迷走神経電気刺激による腸管保護作用を検討した。迷走神経刺激による腸管保護作用を腸管の病理(腸管の粘膜障害の程度)および腸管血流(腸管のドップラーフロー)の変化の観点から調べたところ腸管の保護作用を認めた。この成果は論文発表をおこなった(Yagi M, Morishita K, et al,Surgery.2020,Mar;167(3):638-645)。次の研究としては、この電機刺激条件で迷走神経を刺激し、腸間膜リンパ液のエクソソーム画分の脂質メディエータの変化を調査することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットの腸管虚血再灌流モデルにおける腸間膜リンパ液中のエクソソーム画分の脂質のメディエータの変化に関しては、現在論文に成果を投稿中である。 出血ショックモデルにおける迷走神経刺激による腸管保護作用の研究は論文発表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットの腸管虚血再灌流障害モデルにおける腸間膜リンパ液中のエクソソーム中の脂質のメディエーターに関しては解析が終了したため、今後は迷走神経刺激に対するエクソソーム画分における脂質のメディエータの変化に関する詳細な分析が必要と考えている。
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Causes of Carryover |
理由:予定されていた実験の一部が少し遅れたため次年度使用額が生じた。
使用計画:2019年に予定されていた実験は引き続き2020年に予定であり、2020年度にその費用として使用する予定である。
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