2019 Fiscal Year Research-status Report
ヤマカガシ咬傷におけ抗毒素の代替薬としてのトロンボモジュリン製剤の効果の検討
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18K08890
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
一二三 亨 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 副医長 (30383756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明彦 国立感染症研究所, バイオセーフティ管理室, 主任研究官 (30142144)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヤマカガシ / 抗毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤマカガシ毒に対する治療法としてトロンボモジュリン製剤が従来からしようされているヤマカガシ抗毒素の代替薬となりうるかどうかをラットの測定系を確立して検討することが目的である。当初よりラット凝固系の測定系の確立に難渋したため、様々な試薬や測定方法を検討した結果、最終的にヒトと同じような変化をとらえることができるようになった。具体的にはddimer値の測定系が極めて不安定であり、実験を繰り返し行うこととなった。蛇毒の専門家だけではなく、血液凝固の専門家に相談し安定した測定系を確立することが可能となった。本年度は、この薬剤のヤマカガシ抗毒素の代替薬としての可能性を調べるため、抗毒素を陽性対照としてラットを用いたDIC発症モデルでヤマカガシ毒素の中和活性を経時的に採血したラット血液の凝固系因子の測定を実施した。その結果、1)ヤマカガシ毒素によるラットDICモデルを世界で初めて作出できた。ヤマカガシ毒素をラットの大腿筋に筋肉内投与することで、血漿プロトロンビン時間の遅延とフィブリノゲン濃度の低下がおこり、毒素投与後2時間後にはどちらも測定不能に至る。Dダイマー濃度は毒素投与ご上昇し2時間をピークとして減少し24時間後には元の値に戻った。毒素投与後24から48時間以内にラットは死の転帰をとった。2)トロンボモジュリンα薬を1)のDICモデルに毒素投与後早期に投与することでDICによる死の転帰を救命できることが明らかとなった。最終年度に当たる令和2年度は、本研究の目的であるヤマカガシ咬傷治療薬としてのトロンボモジュリンα薬の可能性についてのまとめの年度と位置付ける。具体的には、昨年度完成したヤマカガシ毒素によるラットDICモデルでの、毒素投与後早期にトロンボモジュリンα薬を投与することでDICによる死の転帰を救命する現象についてより詳しい解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヤマカガシ咬傷は出血活性の毒性が強く、重篤な場合は汎発性血管内血液凝固症(DIC)を起こして死亡する疾患である。治療に用いるヤマカガシ抗毒素は2000年に厚労省研究班にて製造した未承認薬を用いているため、その有効性と安全性を担保するだけの国内事例の集積がない状態である。また、この抗毒素は馬血漿由来の製剤であるためにアナフィラキシーや血清病などの副反応が惹起される可能性もある。近年DIC治療薬としてトロンボモジュリンα薬が承認されて臨床使用され始めた。本年度は、この薬剤のヤマカガシ抗毒素の代替薬としての可能性を調べるため、抗毒素を陽性対照としてラットを用いたDIC発症モデルでヤマカガシ毒素の中和活性を経時的に採血したラット血液の凝固系因子の測定を実施した。その結果、1)ヤマカガシ毒素によるラットDICモデルを世界で初めて作出できた。ヤマカガシ毒素をラットの大腿筋に筋肉内投与することで、血漿プロトロンビン時間の遅延とフィブリノゲン濃度の低下がおこり、毒素投与後2時間後にはどちらも測定不能に至る。Dダイマー濃度は毒素投与ご上昇し2時間をピークとして減少し24時間後には元の値に戻った。毒素投与後24から48時間以内にラットは死の転帰をとった。2)トロンボモジュリンα薬を1)のDICモデルに毒素投与後早期に投与することでDICによる死の転帰を救命できることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる令和2年度は、本研究の目的であるヤマカガシ咬傷治療薬としてのトロンボモジュリンα薬の可能性についてのまとめの年度と位置付ける。具体的には、昨年度完成したヤマカガシ毒素によるラットDICモデルでの、毒素投与後早期にトロンボモジュリンα薬を投与することでDICによる死の転帰を救命する現象についてより詳しい解析を実施する。ヤマカガシ抗毒素の代替薬としての可能性を調べるため、抗毒素を陽性対照としてラットを用いたDIC発症モデルでヤマカガシ毒素の中和活性を経時的に採血したラット血液の凝固系因子の測定を実施する。毒素投与後どのくらいまでにトロンボモジュリンα薬を投与すれば、毒素活性の中和がなされるのかを血漿プロトロンビン時間、フィブリノゲン濃度及びDダイマー濃度のような血液凝固因子の経時的変化としてとらえて解析を進める。得られた結果を学術集会や学術雑誌に発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
モデルの作成に時間を要したため、
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Research Products
(2 results)