2021 Fiscal Year Research-status Report
ヤマカガシ咬傷におけ抗毒素の代替薬としてのトロンボモジュリン製剤の効果の検討
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18K08890
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
一二三 亨 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 副医長 (30383756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 明彦 国立感染症研究所, バイオセーフティ管理室, 主任研究官 (30142144) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヤマカガシ / リコンビナントトロンボモジュリン / DIC / 抗毒素 / 播種性血管内凝固症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラットヤマカガシ咬傷モデルを作成し、リコンビナントトロンボモジュリンの効果を検討し、下記のごとく誌上報告した。
ヤマカガシは日本に広く生息しており、毎年のように咬傷事故が発生している。ヤマカガシに咬まれると、注入された毒液の量が多いと播種性血管内凝固症候群を起こし、ヤマカガシ毒液による治療が遅れると命にかかわることがある。ヤマカガシ咬傷の治療にはヤマカガシ抗毒素が使用されるが、未承認薬であり、保存容量にも限界がある。そのため、患者への迅速な投与が困難である。そこで,播種性血管内凝固症候群治療薬として市販されているリコンビナント・トロンボモジュリンαの適用を検討したところ,咬傷に対する治療効果が確認された.in vitroヤマカガシ毒素を用いたヒト血漿の凝固系およびin vivoヤマカガシ毒素を用いたラット播種性血管内凝固実験モデルでその治療効果が確認された。リコンビナントトロンボモジュリンαの投与により、in vitroではヤマカガシ毒の血液凝固時間を延長する効果が得られ、in vivoではヤマカガシ毒素をラットに投与後0.5時間以内に投与することで救命することが可能であることが確認された。血小板数,プロトロンビン時間,フィブリノゲン濃度,Dダイマー値などの血液凝固マーカーはラットで正常値まで回復した.したがって、遺伝子組換えトロンボモジュリンαはヤマカガシ咬傷の治療薬として使用できる可能性がある。
本研究のin vivoは各群N=3であったことから、今後詳細な検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット血のd-dimerを安定的に測定するためにさまざまなキットを試す必要があり、安定的なd-dimerの測定の確立に時間を要してしまった。結果的として論文作成にも時間を要したが、当初の目的であった年度内の投稿が達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究成果をもとに、継続課題(新規採択分)において、より精度の高いリコンビナントトロンボモジュリンの効果の検討を行う予定である。さらに、抗線溶作用を有するさまざまな市販薬をリコンビナントトロンボモジュリンに組み合わせることにより、より強力な作用が期待できる可能性があることから、in vitro, in vivo共に検討を続けていく予定である。
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Causes of Carryover |
R3年度中の論文投稿は完了できたが、アクセプトが年度を超える可能性があったため、投稿費用のための次年度使用が生じた。残金は投稿費用として充当する予定である
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Research Products
(1 results)