2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of the dynamics of tetrahydrobiopterin in sepsis and the potentiality of BH4 as therapeutic target.
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18K08894
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安田 智嗣 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80437954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆史 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (20381171)
上國料 千夏 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (50751278)
一瀬 宏 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90192492)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / 敗血症 / アスコルビン酸 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、敗血症性ショック病態におけるテトラヒドロビオプテリン (BH4)とその関連代謝物の体内動態を把握し、病態の経時的な変化(warm shockからcold shockへ)との関連、BH4の役割と治療標的物質としての可能性を検討することであった。昨年度までの敗血症モデルを用いた研究により、BH4とその酸化型であるジヒドロビオプテリン(BH2)は感染から24時間後をピークとして上昇し、その後低下していることがわかった。また、血管内皮細胞障害の指標となり得ることが示唆されたBH2の比率の上昇はCLP6時間後から起こっており、BH4投与による治療のタイミングとしてはCLP後6時間以内が適当であると予想された。これらの結果から、本年度は敗血症モデルマウスに対するBH4投与を行い、予後の改善を試みた。投与方法は血中BH4濃度が最も長く高く維持される皮下注射とし、条件検討の結果、投与濃度は10mg/kgとした。 CLP直後にBH4を投与した群(BH4群)と、BH4の代わりに生理食塩水を投与した群(NS群)とで48時間後の生存率を比較した。結果として、BH4投与群では血中BH4濃度の増加によりBH2の比率は減少するものの、生存率を有意に改善することはできなかった。BH2の比率を下げるため、いくつかの薬剤を投与してみた結果、アスコルビン酸を投与する方法が最もBH2の比率を下げられることがわかり、CLP後にアスコルビン酸を投与した群(AsA群)とNS群とで48時間後の生存率を比較した結果、AsA群の生存率が有意に改善された。 感染による生体反応の結果増加したBH4は、誘導型一酸化窒素合成酵素の補酵素として使われるなどして酸化型のBH2になるが、BH4の酸化を防ぎ、細胞内濃度を一定に保つような治療介入は、敗血症の予後改善に効果的である可能性が示唆された。
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