2019 Fiscal Year Research-status Report
造影剤投与による急性腎障害の機序解明および医薬応用
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18K08899
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐々木 淳一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (90235250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 康一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10383762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
造影剤投与による急性腎障害モデル動物の作成に着手した。具体的には、8週齢のSprague-Dawleyラットに全身麻酔を導入し、鼠径部から下腿にかけて切開し、露出した大腿静脈を24Gサーフロー針で穿刺し、NSAID、NOS阻害薬、造影剤をシリンジポンプを用いて精密持続静注を行い、24時間後に腎臓を摘出し、H-E染色にて組織学的検討を行った。その結果、造影剤非投与群と比較し、円柱や尿細管壊死が増加している所見を認めた。さらに、将来的な臨床研究を見据え、急性腎障害のサロゲートマーカーである、尿中好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(NGAL)および肝臓型脂肪酸結合タンパク(L-FABP)を造影剤投与前から経時的に測定を行なったが、今回使用した検査方法ではすべての検体で測定感度以下となってしまったため、今後異なる検査キットを使用して再検討する。現在の急性腎障害の診断基準に採用されている血清クレアチニン値は腎障害を迅速に反映しないため、造影剤投与による腎障害のサロゲートマーカーを明らかにすることは重要である。一方で、造影剤に水素分子を含有される試みも実施した。以前の検討では、0.4ppm程度の濃度が限界であったが、今回は圧力を加えながら水素を含有させる方法を試みた。その結果、最大3ppm(0.4Mpa融解)と高濃度の水素分子含有造影剤の作成に成功した。この方法は造影剤シリンジに直接水素分子を含有させることができる方法であり、臨床応用への展開も期待される。今後は、この水素分子含有造影剤を造影剤投与による急性腎障害モデル動物に投与し、効果を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疾患モデル動物の作成を終え、医薬応用を見据えた水素分子含有造影剤の作成にも成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
疾患モデル動物に、医薬応用を見据えた水素分子含有造影剤を投与し効果を検討するとともに、臨床研究を実施する際に必須となる造影剤投与による急性腎障害のサロゲートマーカーの検討も実施する。
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Causes of Carryover |
サロゲートマーカー測定費用、免疫染色用抗体費用を抑えることができた。一方で、次年度はそれらの購入が必要であり、それに充当させていただきたい。
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